榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

後輩思いの先輩が、3年目、5年目のMRの悩みに正直に答えた・・・【続・リーダーのための読書論(3)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2011年 5月25日号】 続・リーダーのための読書論(3)

MRの先輩からのアドヴァイス

若いMR諸君の悩みに答える本を書きたいとかねがね考えてきたが、まだ実現できていない。『文献にマーカーを引いて持っていったら叱られた。なぜだろう?――MRが悩んだときに開く本』(友石和登著、SCICUS<サイカス>)を読み終わったとき、この本の中で私の願いが見事に実現されていることを知った。それもそのはず、この書には、著者のMRとして、営業所長として、研修課長としての経験と、後輩への熱い思いが凝縮しているからだ。

悩みを乗り越える方法

著者は、MRになって3年目、5年目にスランプに陥るMRが多いという。また、開業医担当から病院担当に変わったときもスランプになり易いという。私も開業医担当から大学・基幹病院担当に変わったとき、戸惑い、大いに悩んだが、先輩のちょっとしたアドヴァイスに救われ、危機を乗り越えた経験がある。このように先輩に悩みを相談できればそれに越したことはないが、そうできないケースもあるだろう。そういうとき、悩みに親身に答えてくれるのが本書だ。

具体的な81の解決策

本書で取り上げられている悩みと解決策のうちのいくつかを見てみよう。

●医学雑誌を客観的に評価するには?→インパクトファクターとアイゲンファクター。●達成率悪化の負のスパイラルから抜け出すには?→ターム(期間)を見据えて戦略を考え、課題を進める。●強いメーカーと競合していて、訪問回数もかなわない場合は?→「ここだけは勝っている点」を明確にする。●苦手な先生を苦手でなくする方法は?→熱意は以心伝心で必ず伝わる。●「結果を求めない」クロージングと「結果を求める」クロージングとは?→結果よりも重視される提示力と提案力。●訪問規制のなかで勝ち残るには?→「私にはこれだけの情報提供ができます」。●効率よく先生を訪問するには?→先生の行動パターンの把握、自分の行動パターンの確立。●「出待ち」の時間を有効に使うための工夫とは?→無駄と考えず、きっかけを作る場ととらえる。