榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

堀江貴文の「刑務所ブック・リスト」・・・【続・リーダーのための読書論(39)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2014年3月28日号】 続・リーダーのための読書論(39)

情報脱獄

私は、堀江貴文は「見せしめの刑」に処せられたと考えている一人である。その堀江の『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた――そしたら意外に役立った』(堀江貴文著、角川書店)で、彼が薦めている本、そして、その読後感に全面的に賛成というわけではないが、これは読まねばという3冊の本に出会えることができた。

「これらの本は、いわば僕が刑務所という情報の壁の向こう側で、時間と戦いながらキュレーションした名作たちである。この本のおかげで僕は、仮釈放されても、前以上のパフォーマンスでシャバに復帰できたと言えるかもしれない。そう、僕の『情報脱獄』は、成功したのだ。刑務所の圧倒的な強制情弱状態から脱し、ビジネスから歴史、人生についてまで、様々な『新しい考え方』を生み出すこともできた」。

私が読みたくなった3冊

早速、私の「読むべき本リスト」に加えた3冊は、①『新装版 こんな僕でも社長になれた』(家入一真著、イースト・プレス)、②『理系の子――高校生科学オリンピックの青春』(ジュディ・ダットン著、横山啓明訳、文藝春秋)、③『バイオパンク――DIY科学者たちのDNAハック』(マーカス・ウォールセン著、矢野真千子訳、NHK出版)――である。

『こんな僕でも・・・』について、著者は、「家入さんは、僕たちの見てきた起業家像とは程遠い人物だ。そして本作は、タイトル通り、『らしくない』IT企業社長のサクセス・ストーリーである。ひきこもりの青春を過ごして高校を中退し、芸大を志すも2年連続で落ち、結局、最終学歴は高卒(大検に合格)。その後、父親の交通事故と借金で家庭崩壊。オドオドしながら少しずつ自分のやりたいことに近づいていき、自分ができる起業の形を手探りでつくっていく――このたよりない子煩悩な男の物語は、新しいIT起業物語として読ませる。本当に、『こんな人でも、社長になれるのか』『やりたいことが、こんなにも自然にできるのか』と勇気をもらう人もいるだろう」と書いている。

『理系の子』は、「毎年アメリカで開催されるインテル国際学生科学フェアの参加者たちを追ったドキュメンタリーだ。いわば科学のオリンピックだ。だから高校生は夢中になれるし、天才も生まれるのだ。本作の主な登場人物は12人の高校生だ」。堀江は、「乱暴に翻訳すれば、『核融合炉をつくった』」少年と、自分が罹っているハンセン病のイメージを変えることに成功した少女にスポットを当てている。

『バイオパンク』は、DIY生物学の最先端のリポートだが、堀江は、「自宅のキッチンでそろうものと、インターネットで買える中古品だけで遺伝子検査システムを組み立てた」23歳の女性バイオハッカーに注目している。