君はIoTを理解できているか・・・【続・リーダーのための読書論(67)】
ICTからIoTへ
ICT(Information and Communication Technology)が世の中をすっかり変えてしまったが、今や、モノ、コトを包含したIoT(Internet of Things)という新たなコンセプトへとさらなる進化を遂げつつあることをきちんと認識できているだろうか。
『2030年のIoT』(桑津浩太郎著、東洋経済新報社)は、IoTの現在から未来までを俯瞰的に見通している。
IoTの大きな流れは、ICT内の一つの技術、サーヴィス・トレンドを超えて、生活、都市や産業、社会にまで影響を広げる可能性を秘めており、狭い意味でのICT関連企業や業界に限定されるものではない。広く社会全般から、地球規模の神羅万象を巻き込む可能性があるのだ。
IoT関連業界
IoTを取り巻く業界・産業は、●ネットワークを提供する通信サーヴィス事業者、●システムとしての端末、ネットワーク、ソフトを提供するソリューション事業者、●センサー・機器メーカー、●IoT向けの機能提供を行うプラットフォーム事業者と、●ユーザー(機器メーカー、自治体・官公庁など)――に、分類することができる。
ヘルスケア市場のIoT
多くの関係者からIoTの最も大きな潜在市場と位置づけられているのが、ヘルスケア市場である。
健康管理、医療、介護・福祉などの領域における医療用機器へのICT活用の一環として取り組まれており、健康・福祉の増進という大義の下、高齢化に伴う医療費高騰の抑制、成人病などの疾病予防を目的とした健康管理への期待は大きい。
ヘルスケアの市場は、規制の範囲や程度、費用負担の主体(官か民か)、有資格専門職の要否などから、●人命に直結し、医師が責任を持って対応する医療、●自治体が主導する介護・福祉、●個人が取り組む健康管理――の3つに大別され、IoTはそれぞれに組み込まれる形となっている。
民間企業の視点からは、健康管理領域は医師などの専門職のアドヴァイスを受けつつ、比較的自由度の高い形でサーヴィス提供ができる。介護・福祉領域においては、提供するサーヴィスは法制度などに定められた要件を満足させないと、十分な対価を獲得することはできない。医療領域においては、医師の活動を支援する形以外のサーヴィス提供は困難であり、サーヴィス開発の自由度は低い。収入についても、健康保険のカヴァー範囲に入らないと、サーヴィス提供の実現性は低いなど、クリアすべき課題が極めて多い市場領域である。
自分の仕事に関するIoTは言うまでもなく、自分の今後の生活全般に影響を与える可能性の高いIoTについて学ぶことは必須事項と言えるだろう。
戻る | 「第7章 仕事にロマンを」一覧 | トップページ