榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

極端に美人の受付嬢がいる会社は問題がある?・・・【続・リーダーのための読書論(56)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2015年8月20日号】 続・リーダーのための読書論(56)

ファンド・マネジャーのアドヴァイス

スリッパの法則――プロの投資家が教える「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方』(藤野英人著、PHP文庫)は、ファンド・マネジャーだった著者が自らの経験を踏まえて、投資に値する会社か否かの見分け方を示したものであるが、投資家でなくても、自分の会社、競合の会社、入社を目指している会社、転職先として考えている会社を判断する際も役に立つ。また、実例として挙げられている各社に対する著者の執筆時点の評価が正しかったか否かをチェックするという楽しみ方もある。

よい会社と悪い会社の分岐点

「自分の会社の話をすると興奮してくる社長は信頼できる――投資家が会社を判断する際、もっとも注目するのは社長のキャラクターであり、事業への情熱です。社長が経営理念やビジョンを話すときに目が輝いているかどうかがポイントです。いかにも興奮した様子で話す社長は信頼できます。情熱を傾けない事業プランなどあり得ないからです」。

「相手の肩書によって態度を変える経営者は信用できない――私が大手の資産運用会社を辞めて会社を設立したとき、それまでおつき合いしてきた経営者の態度に大きな変化がありました。『ウェルカム』といって喜んでくれる経営者がいる一方で、『もうオマエなんか必要としない』という態度を示され、つき合いが途絶えた経営者もいます。・・・私の立場が変わっても、サラリーマン時代とつき合い方をいささかも変えない経営者もいました。個人的にはこういう経営者がいちばんステキだと思います。私だけでなく、どんなポジションの人間に対しても、同じスタンスでつき合っていけるだけの度量が感じられるからです」。

「大成功している経営者は例外なく細かい」。

「優秀な経営者の多くはメモ魔である」。

「社員同士を『さん』づけで呼び合う会社への投資はリターンが高い」。

「よい会社は複数の価値観を持った人材を抱えている」。

「パソコンを操れない社長は将来性が少ない」。

「極端に美人の受付嬢がいる会社は問題がある――受付が美人である会社はよい会社といわれますが、それが本当だとは、私には思えません。美醜と能力には何の関係もないからです。むしろ、極端な美人がいる会社はどこかおかしいと疑います。まず、面接に個人の趣味が反映し、正当な評価をしていないことが考えられます。それだけではありません。経営者のお客様に対する考え方、女性社員に対する姿勢が出ています。美醜という基準を優先させる意識は、必ず別の部分へも影響をおよぼすのです」。

「成長産業にいるからといって成長企業とは限らない」。