榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

2カ月で腹囲が15cm細くなり、ズボンがストンと落ちるようになった理由・・・【MRのための読書論(72)】

【Monthlyミクス 2011年12月号】 MRのための読書論(72)

私の実体験

この2カ月で腹囲(いわゆるウェイストではなく、臍の位置で測定)が15cm細くなり、ズボンがストンと床に落ちるようになった。これはダイエットの広告文ではなく、私の実体験である。

当社のある幹部の体形が以前よりスッキリしているので尋ねたところ、「15kg痩せた」と言うではないか。ポッコリ突き出ている腹をいつも女房から指摘されていた私は、思わず、「どういう方法で?」と聞き返していた。一冊の本に書かれているとおりに実行しただけで、ダイエット効果と境界型糖尿病改善効果が得られたというのだ。

早速、書店に駆けつけ、教えられた本と、その隣に並んでいた続編を購入し、実行したところ、自分でも信じられないほどの効果が表れたのである。20年前の私は身長164cm、体重58kg、BMI 21.6、腹囲81cmであった。その後、変わらないのは身長だけで、今から2カ月前には、体重66kg、BMI 24.5、腹囲95cmという惨状を呈していた。ポッコリ腹解消を目的に、これまでさまざまな食餌療法や運動療法を試みたが一向に効果なし。それが、この本のアドヴァイスに従ったところ、たった2カ月で、体重57kg(9kg減)、BMI 21.2(3.3ポイント減)、腹囲80cm(15cm減)と大きく変化したのである。20年間かけて膨張してきた体が、2カ月という短期間で元の体形に戻ったのだ。さらに、高血圧が改善し、降圧剤が不要になるというおまけまで付いたのである。

「糖質制限食」の真実

主食を抜けば糖尿病は良くなる!――糖質制限食のすすめ』(江部康二著、東洋経済新報社)と『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 実践編――糖質制限食の応用法』(江部康二著、東洋経済新報社)には、いったい何が書いてあるのか。一言で言えば、「糖質制限食」を実行せよ、ということだ。すなわち、三食とも主食(白米、パン、麺類)は摂るな、副食(おかず)はカロリーを気にせず、ドンドン食べてよい、酒は蒸留酒のウィスキー、焼酎ならよい、というのである。因みに、糖質とは炭水化物から食物繊維を引いたものを指す。

幸いなことに私は今のところは糖尿病でも糖尿病予備軍でもないが、ポッコリ腹を何とかしたかったので、早速、実行といきたいところだが、我が家の料理担当の女房を説得しなければ始まらない。彼女にも本を読んでもらい、糖質制限食を実際に開始できたのは、1週間後のことであった。夫婦二人の生活で別々の献立では手間がかかるというので、彼女も一緒に糖質制限食を行っている(昼食のみ主食あり)が、それなりの効果が得られているようだ。

私は、MR時代からの習性で「早食い」であったが、現在は、できるだけ時間をかけて食べるようにしている。また、野菜、味噌汁やスープ、その後に魚や肉という順番を守っている。酒は、ビール、日本酒、ワインからウィスキーのコーラ(糖質ゼロのCoca-Cola zero)割りに変更している。当初は、主食抜きでは空腹を覚えるのではと懸念していたが、全くの杞憂であった。昼食は外食となるが、定食などは、店員に「ご飯は要りません」と一言告げれば済む。

糖尿病患者・糖尿病予備軍への朗報

糖質制限食の効果を実感し始めた頃、手にしたのが、『我ら糖尿人、元気なのには理由(わけ)がある。――現代病を治す糖質制限食』(宮本輝・江部康二著、東洋経済新報社)と『「糖尿病治療」の深い闇――糖質制限食はなぜ異端視されてきたのか』(桐山秀樹著、東洋経済新報社)であった。

前者は、糖質制限食で糖尿病が劇的に改善した作家の宮本輝と、糖質制限食を提唱している医師・江部康二の対談である。後者は、これまた糖質制限食で糖尿病からの「脱出」に成功したノンフィクション作家・桐山秀樹の、我が国の糖尿病治療に対する手厳しい告発の書である。今なお金科玉条とされているが実行が難しいカロリー制限食から、効果が確実で、実行容易な糖質制限食への切り替えを提言している(糖質制限食の適用とならない症例にも言及している)。糖質制限食は、欧米では既に選択肢の一つとなっている。一方、我が国ではまだまだ少数派にとどまってはいるが、その有効性と安全性が徐々に認められつつあることは、糖尿病患者・糖尿病予備軍にとって朗報と言えるだろう。