榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

「壁打ち」とは何か、どういう効果が期待できるのか、どうすれば実行できるのか・・・【MRのための読書論(241)】

【ミクスOnline 2026年1月23日号】 MRのための読書論(241)

壁打ち

最近、よく耳にする「壁打ち」とは何か、どういう効果が期待できるのか、どうすれば実行できるのか――という素朴な質問に、『壁打ちは最強の思考術である』(伊藤羊一著、飛鳥新社)が、懇切丁寧に答えてくれた。

本質

●壁打ちは、会議と雑談と1on1の全てを兼ね備えたコミュニケーション術である。
●壁打ちと雑談の大きな違いは「問いかけ」。シンプルに「イシュー」があるかどうかだ。すなわち、「解決すべき問い」の設定である。
●ブレストと壁打ちは似て非なるもの。壁打ちは、「壁打ちをお願いします」とアクションを起こしたその人が、イニシアティヴ(主導権)を持ってアイディアを膨らませることができる。
●壁打ちは思考を広げる最強の手段。テキストチャットでのやり取りではなく、人と人がリアルタイムに時間を共有しながら対話するコミュニケーション、すなわち「話し言葉」で成り立つのが壁打ちである。
●壁打ちは、される側にとってもありがたいコミュニケーション。
●壁打ちの本質は「その人の内側にあるモヤモヤを思考として構造化し、他者と交換できるアイディアに変える」というもの。

効果

●思考がぐちゃぐちゃな人は、いつまで経っても動き出せない。
●壁打ちは、最強の思考整理法。ごちゃごちゃした頭が、驚くほどクリアになる。
●壁打ちで全てのモヤモヤが「構造化」していく。話すことは、頭の中の「構造化されていない情報」を、少しずつ形にしていくプロセスである。「構造化」の本質は、「わが事化」である。
●仕事の「疲れた」は、壁打ちで解消できる。疲れない理由は、頭の中がスッキリと整理されているから。
●これからはあらゆる職種にとって「自分の頭で考え、自分で生み出したアイディアを形にする力」が必須のスキルになっていく。
●壁打ちの力を身につけた人は圧倒的に成長する。

実行法

●あなたの中のモヤモヤは口に出すことで価値が生まれる。モヤモヤをとにかく言葉にしてみること。モヤモヤをモヤモヤのまま口に出して誰かに聞いてもらい、打ち返してもらう、これぞまさに「壁打ち」なのだ。
●キーワードは「具体」と「抽象」。壁打ちはロジックを生む。
●壁打ちに必要な「3つの問いかけ」――
①「So What?(それで?)」。具体から抽象へと上げるのに使うのは「それで?」、「つまり、どういうことだ?」というクエスチョン。
②「Why?(なぜ?)」。抽象から具体へと下げたいときには、「なんでそうなっているんだ?」という問いが有効。
③かなりいい感じで固まってきたと思える段階まで来たら、「True?(本当にこれでいいんだっけ?)」というクエスチョンで、俯瞰して見直す。

●壁打ち実践篇――
▶プロジェクトの始まりに壁打ちする。
▶イシューだけは決めておくのが壁打ちの基本。
▶仕事が途中でつまずいたとき、壁打ちする。
▶壁打ちを重ねた回数が成果に比例する。
▶壁打ちで独りよがりな暴走を防ぐ。
▶振り返りながら壁打ちする。
▶プロジェクトを終えたとき、壁打ちする。
▶壁打ち中に降りてくる「うおおおおおお」を逃がさない。

●達人になれば「セルフ壁打ち」もできうる。自分の問いに自分で突っ込みを入れたり、仮説をぶつけて検証したりできるようになる。

●AIを相手にする壁打ちでは、以下のポイントを意識せよ――
▶質問はなるべく具体的に、背景も含めて伝える。
▶最初の問いは「仮説」や「アイディアの種」に絞る。
▶返ってきた答えはすぐにうのみにせず、違和感があれば問い直す。
▶複数のAIサービスを試して、目的によって使い分ける。

個人的には、「セルフ壁打ち」力と「AIを相手にする壁打ち」力を鍛えたいと考えている。