本格的なAI時代をどう生き抜くか・・・【MRのための読書論(242)】

はみ出す力
今やAIの存在を無視できず、AIを使いこなすのは当たり前で、その上で、本格的なAI時代をどう生き抜くかを考える段階に至っている。その意味で、『反逆の仕事論――AI時代を生き抜くための「はみ出す力」の鍛え方』(樋口恭介著、PHP研究所)は一読に値する。
本書の特徴は、AI時代には「はみ出す力」が必須であり、その力を身に付ける手法として、SF小説の書き方を転用して未来を模索し、その思考実験を通して現実のソリューションを考える「SFプロトタイピング」を提唱しているところにある。著者のコンサルタント兼SF作家という強みが生かされている。
必要に応じてAIをフルに活用しつつ、要所で「自分だけのものの見方に基づく、自分だけの全く新しい提案・アイディア」を出し、そして「自分だけの存在感に基づく、自分だけの実行力」によって組織を新たな市場・新たな競争に導くことができる、そんな人材になることが欠かせないというのだ。
そのためには、まず「自分らしさ」を持つこと。そして、その「自分らしさ」をちゃんと、自分自身が信じ切ること。言い換えれば、自分だけの「はみ出した部分」を持ち、それを自覚し、育てていくこと。
はみ出し人材
魅力あるはみだし人材とは、信頼関係と熱意で周りを巻き込むはみだし人材である。既存の枠組みを乗り越え、強烈で尖ったアイディアを練り上げ、それを実現するために邁進するのだ。
はみ出し人間に求められているのは、アイディアの妥当性を示し、実現までのフローを可視化した上で、周囲に「それ、いいな」と思わせ、能動的に動いてもらうことで、アイディアをさらに高みへ引き上げることのできる「物語」ということになる。
AI時代に人間が組み立てねばならない物語、すなわち、他人を味方に引き入れる引力を持つ物語を組み立て、語る力が、これからの人間には不可欠になっていく。
妄想力
妄想力とは、他の人にはない自分だけの視点で社会を捉え、相手をワクワクさせられるヴィジョンや社会的に興味深い「アイディアのタネ」を見つけ出し、それを社会に実装する方策までを夢想する力である。
上手にはみ出すための妄想力を高めるカギは、小さなことでも「新しいこと」に挑み続けること。
SFプロトタイピング
「SFプロトタイピング」とは、理想と現実を繋ぐ架け橋だ。理想をしっかりと思い描き、そこに至る道を現実の中に探すための思考法である。すなわち、SFを書くつもりになって考えよというのだ。
AIの長所と短所を正しく理解しつつ、AIに任せられることは任せ、人間にしかできないことに集中しようと、著者は呼びかけている。同感である。
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