榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

村の女は眠れない どんなに腕をのばしても夫に届かない どんなに乳房が熱くみのっても夫に示せない・・・【ことばのオアシス(18)】

【薬事日報 2009年11月6日号】 ことばのオアシス(18)

村の女は眠れない
どんなに腕をのばしても夫に届かない
どんなに乳房が熱くみのっても夫に示せない
どんなに腰を悶えさせても夫は応えない
夫が遠い飯場にいる女は眠れない

――草野比佐男

上掲は、「村の女は眠れない」という長い詩の一節。この詩は、素朴で刺激的だ。妻たちの、出稼ぎで遠く離れて暮らす夫への熱い思いと、出稼ぎをしないと生活が成り立たない社会・時代への怒りを代弁している。詩集『村の女は眠れない』(梨の木舎)所収。