懐かしさが込み上げてきました・・・【山椒読書論(567)】
絵本『ばあちゃんのなつやすみ』(梅田俊作・梅田佳子作・絵、岩崎書店)を読んだら、懐かしさが込み上げてきました。
「あさ はやくから、うらやまで みんみんぜみが ないています。きょうは いよいよ とうきょうから、むすめと まごたちが、やってくるひです。ばあちゃんは、あさから そわそわと おちつきません。『いまごろ もう きしゃの なかやろなあ。きしゃは どのあたりを はしってるんやろ・・・』。くるっとまわした ひがさを かすめて、しおからとんぼが とびさりました。それをみて ばあちゃんは こどものころ つりをした むらはずれの ぬまを おもいだしました。・・・まごたちを あの ぬまで あそばせてやろう。よろこぶやろなあ」。
「ばあちゃんは ふと しろやまの くぬぎばやしを おもいだしました。・・・まごたちを あのきに のぼらせてやろう。よろこぶやろなあ」。
「ばあちゃんは そよそよと すずしいかぜのふく くさかりばの おかを おもいうかべました。・・・まごたちを あのおかへ つれてってやろう。きっと おおよろこびやろなあ」。
「ばあちゃんは、はなのあたまの あせを、たもとで ぽんぽんと はたき、『こんな あついひは、あそこが いちばんやなあ』と、やまあいの けいりゅうを おもいうかべました。・・・まごたちを あのかわへ つれていってあげよう。よろこぶやろなあ」。
「『ことしの まつりは、にぎやかなこと』。ばあちゃんは、こどものころの まつりのよるを おもいだしました。・・・ことしは まごたちと いっしょに おまいりや。きっと、よろこぶやろなあ」。
「『おじいさん、どちらへ?』。『なに、ちょっと たばこをかいに・・・』。『バスていまで ですやろ? それなら わたしが かってきますよ』。『いや、わしが いく』。『いえいえ、わたしが』と、ふたりが みちに でたとたん、とおくのほうから こえが しました。『おじいちゃーん』。『おばあちゃーん』。『おう、おう、ようきた ようきた。まってたぞ!』。『うんとこさ、あそぼうなあ!』」。
ほのぼのとしたタッチの絵が、実に、いい味を出しています。
子供の頃、毎年、夏休みと冬休みに、父の田舎の祖父・祖母の家に遊びに行った時のことを思い出してしまいました。