榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

賢い妃に魅せられてしまいました・・・【山椒読書論(636)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月20日号】 山椒読書論(636)

りこうなおきさき』(ガスター原作、立原えりか文、いわさきちひろ絵、講談社)は、子供だけでなく、大人も愉しめる絵本です。

「ある ひ、おうさまが だいじんに いいました。『わたしの ひつじを 2せんびき、いちばで うって おくれ。うれた ひつじの だいきんと、わたしの ひつじを 2せんびき、わすれずに もって かえるのだよ』。『おかねも ひつじも もって かえれですって?』。だいじんは、こまって しまいました」。

「『どう すれば、おうさまの いう とおりに できるだろう』。かんがえこんで いる だいじんに、むすめが いいました。『ひつじを いちばへ つれて いって、けを かりとって うれば いい。かりとった けの だいきんと、ひつじを もって かえれます』」。

「『なんと りこうな むすめだろう。いちど あって みたい』。おうさまは、また だいじんに いいつけました。『ふくを きて、はだかで、うまには のらず、あるかずに、じめんに あしを つけて、むすめを しろへ よこしなさい』。さて、どうしたら いいのでしょう」。

この難問も見事にクリアした娘を王は気に入り、妃に迎えました。

王が裁判で下した不当な判決に異を唱えた妃に、城を出て行けと王が激怒します。「『それでは おわかれいたします。でも さいごに、おわかれの パーティーを ひらかせて ください』」。

「おわかれの おさけを のみながら、おきさきは おうさまに いいました。『おねがいが ございます。しろを でて いく ときに、わたしの いちばん たいせつな ものを、ひとつだけ もって かえらせて くださいな』。『いいとも。おまえの いちばん たいせつな ものを、ひとつだけ もって いくが いい』」。

妃が持っていったものが何だか、あなたは、分かりますか?