好きな音楽をやるために、会社を辞めるべきか否か・・・【山椒読書論(687)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年3月18日号】
山椒読書論(687)
コミックス『夕焼けの詩(7 千夜一夜劇場)』(西岸良平著、小学館)に収められている「終電車」は、サラリーマンなら身につまされる話である。
「ふうん・・・バンドねえ。それじゃ会社やめるの・・・」。「いや、まだ決めた訳じゃないんだ」。「いいわ、あなたの思い通りにしなさいよ。わたし、ついて行くから」。「おれは本当に後悔しないだろうか・・・今の会社にいれば、いずれは部長ぐらいには・・・おれは、出世コースに乗ってるんだ・・・別に仕事に不満はないし・・・」。
5年後――。「ちょっと、あんた、一体どうする気なのよ。大家が今月中にたまった家賃払わないと出ていけって・・・音楽なんかやらなきゃ、今頃はちっとはましな生活できたのにさ! もとの会社の同僚の人達はみんな出世してるってのに・・・」。「あいつも変わったなあ・・・」。
さらに、月日は流れ――。「女房が子供をつれて飛び出してから、もう半年・・・今度こそ、あいそをつかされたか、ハハハ・・・」。
最後に、思いもかけないどんでん返しが待ち構えている。
疲れた頭を休めたいとき、西岸良平作品を手にとる私。