今日、あなたは何歳だと感じますか?・・・【続々・独りよがりの読書論(6)】
【にぎわい 2025年3月3日号】
続々・独りよがりの読書論(6)
脳が変われば、人生が変わる。最新研究が明らかにした「脳の期待効果」によって、仕事や学習
のパフォーマンスが格段に向上し、心身の健康が増進し寿命まで延びるというのは、本当だろうか。
『ブレイン・ブースト――脳を変える究極のマインドセット』(デヴィッド・ロブソン著、中尾由恵訳、二見書房)が主張する「脳の期待効果」は、査読ありの学術誌に掲載された医学論文に基づいているだけに説得力がある。
●「今日、あなたは何歳だと感じますか?」。この質問は、あなたの将来の健康に対して重要な意
味を持つ。加齢に対する考え方は、実年齢と同じくらい重要だからである。
●私たちの脳は、現実をただありのままに受け取る受動的な観察者ではなく、現実を変える力を持っている。
●老化プロセスに関する研究結果により、老後についてポジティヴに捉えている人は、老化を衰弱や障害と結びつけて考えている人よりも、難聴や虚弱状態(フレイル)、病気になりにくく、アルツハイマー病を発症する可能性も低くなることが分かっている。
●主観年齢が低い人は、他の人たちに起きると想定される通常の衰えに対し、自分は例外なのだと思い込みやすくなることが考えられる。それにより、年を重ねても健康に対するポジティヴな期待を維持することができるのだ。
●ストレスが悪化すると、ネガティヴな加齢観を持つ人はエピジェネティックな変化が起こり、病気にかかりやすくなるのに対し、ポジティヴな期待を持つ人は、その作用が抑えられると考えられている。