榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

江戸っ子好みの溌剌とした粋な女性たちに出会える図説・・・【情熱的読書人間のないしょ話(386)】

【amazon 『歌川国貞』 カスタマーレビュー 2016年5月18日】 情熱的読書人間のないしょ話(386)

東京・日本橋の地下道に「熙代勝覧(きだいしょうらん)」絵巻の拡大コピーが飾られています。1805年頃作製された絵巻で、当時の江戸・日本橋界隈の賑わいが生き生きと伝わってきます。当時の魚河岸は日本橋の袂にあり、絵巻に描かれているように日本橋から富士山を望むことができました。「火事と喧嘩は江戸の華」といわれますが、喧嘩をしている男たちも描かれています。越後屋(現・日本橋三越本店)の立て看板には「現銀無掛値」(=現金商法)と書かれています。いい気分で街歩きを楽しんでいる人々もいます。屋台の茶屋は結構繁盛しています。因みに、本日の歩数は10,187でした。

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閑話休題、図説『歌川国貞――これぞ江戸の粋』(日野原健司著、東京美術)には、浮世絵師・歌川国貞の魅力が詰まっています。

「歌川国貞(1786~1864)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。初代歌川豊国に入門し、22歳で浮世絵界にデビュー。美人画と役者絵という、浮世絵版画における最も主要なジャンルにおいて若い頃から才能を発揮し、79歳で亡くなるまで常に第一線で活躍し続けました。制作点数も1万点を超えるとされ、浮世絵師の中でもナンバーワンの量を誇っています。江戸時代において歌川国貞の人気は、葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳を上回るものであり、まさしく当時の浮世絵界を象徴するような存在でした」。

国貞の作品、特に市井の女性たちを描いた美人画には、当時の町人たちが最も大事にした「粋」という価値観が込められています。

「国貞は、目元や口元の動き、あるいはちょっとしたしぐさを描き分けることで、女性たちの心の内面までも捉えています」。

どの作品も見応えがありますが、私が一番好きなのは、1819年頃に描かれた「星の霜當世風俗 蚊やき」です。「夏の夜、寝るときに欠かせないのが、蚊を防ぐための蚊帳(かや)です。しかし、蚊帳の中に蚊が一匹紛れ込んでしまったようです。女性は油を染み込ませた紙縒(こよ)りに火をつけ、蚊を退治しようとしています」。私の幼い頃も、寝るときは必ず蚊帳を吊っていました。

本書を開くと、江戸っ子好みの溌剌とした粋な女性たちに出会えます。