高校の仲良し5人組の女性たちに何があったのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(406)】
人魂のような火星の写真じゃまずいので、昨晩、再挑戦し、小さいけれど火の玉のような火星をカメラに収めることができました。散策中にあちこちで目にする鮮やかな赤紫色の花の名前が分からず気にかかっていたのですが、本日、遂に判明しました。近くのホームセンターヤサカ柏西原店の園芸責任者の伊藤嬢が調べてスイセンノウと教えてくれたからです。青いアジサイを見ると、心が洗われるような心地がします。因みに、本日の歩数は10,717でした。
閑話休題、軽い気持ちで読み始めた『光の庭』(吉川トリコ著、光文社)の世界に、たちまちのめり込んでしまいました。
地方の高校の仲良し5人組の志津、三千花、麻里奈、理恵、法子は、卒業と同時に各々の道を歩んでいきます。18年後の彼女たちは、それぞれに変貌を遂げています。東京の私大卒業後、ライターになったものの、挫折して地元に戻ってきた志津。短大を出て、母の勧めるままに地元の市役所で働いている麻里奈。県内の大学を卒業して社長夫人に収まりながら、匿名で不倫の日々をブログに綴る理恵。20歳でできちゃった結婚し、今や3児の母でありながら、ネット中毒に陥っている法子。
5人のうち、三千花は18年後を迎えることができませんでした。成人式の数日後、少年グループに暴行された三千花がバラバラ死体で発見されたからです。
志津は、「三千花に何が起こったのか」をテーマにしたルポルタージュを書こうと、口を閉ざしていた麻里奈、理恵、法子に取材を敢行します。その結果、明らかになっていく彼女たちを巡る深い闇とは・・・。
彼女たちの高校時代はポケベルとカセット・テープの時代でした。そして、18年後の現在はSNS全盛時代です。この変遷が物語の背景として生かされています。
麻里奈の志津に対する言葉。「どうして私に会いに来たの?」。
「突き詰めて考えるのは恐ろしいことだったが、逃れようもなくわかっていることが一つだけあった。三千花が死んだのは女だからだ」。
志津のiPhone、法子のスマホ、麻里奈のFacebookの画面。「大石三千花さんから友達リクエストが届いています」。
「私たちはそれぞれのやり方で16年を生きのびた」。
「『大石三千花』からイベントの招待状が届いたのはその翌日だった」。
「やはりこれは、開けてはならないパンドラの箱だったのだ」。
久しぶりに、本当に面白い小説に出会うことができ、得した気分です。