「植物を見分けること」と「植物の自然毒を知ること」の重要性・・・【情熱的読書人間のないしょ話(442)】
散策中に、クライミングウォールに挑戦する子供たちを目撃しました。ボルダリングとは異なり、ロープとハーネス(安全ベルト)により安全が確保されているとはいえ、その勇気には驚かされます。こういう子供たちは、これから出遭うであろう人生の難関も果敢に乗り越えていくことでしょう。
閑話休題、『身近にある毒植物たち――「知らなかった」ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み』(森昭彦著、SBクリエイティブ)には驚かされました。
普段、何気なく食べている野菜や、自宅で育てたり、散策中に目にしたり触ったりする草花が恐ろしい毒を持っていることを、これでもかこれでもかと著者が強調しているからです。
「死に至る危険性が高い傾向にある」、「恐らく死をもたらすような原因となりうる」、「ひどい中毒を起こす傾向がある」、「皮膚炎などを起こす可能性がある」、「取り扱い方法によっては軽度に危険である」――植物が人体に及ぼす影響について、このような注意が付された植物が77も収録されています。
例えば、日本で最も中毒率が高い植物はジャガイモだと記されています。「(有毒成分の)ソラニンが人体に入ると、腹痛、嘔吐、下痢、めまいを起こす。その苦しみたるや、119番通報を余儀なくさせるほどモーレツ。恐ろしいことに、学校などの調理実習で集団発生、という例が多い。なぜなら、とても手軽に育てることができ、簡単な調理でおいしく食べられるから」。著者は、あらゆる植物が自分の身を守るために有している自然毒のリスクを忘れるなと警告を発しています。
他の植物と間違えて食べてしまった場合、死に至る場合がある植物として、イヌサフラン、エンジェルズ・トランペット(キダチチョウセンアサガオ)などに対する注意が促されています。
接触性皮膚炎を起こし易い植物として、カラー、アネモネ、アルストロメリア、コリウス、チューリップ、ノウゼンカズラ、アメリカノウゼンカズラ、ハナミズキなどが挙げられています。
本書は、「植物を見分けること」と「植物の自然毒について正しく知ること」の重要性を訴求しているのです。