良寛は、最晩年に40歳年下の尼僧と心を通わせ合った・・・【情熱的読書人間のないしょ話(453)】
散策中に、空き地の草を食んでいる若いウサギを見かけました。どこからか逃げ出してきたのでしょうか。野菜を見つけると嬉しくなります。ゴーヤー(ゴーヤ、ニガウリ)、キュウリ、ズッキーニ、カボチャ、トマトは黄色い花を咲かせています。ナスは薄紫色、ピーマンは白色の花を付けています。トウモロコシの穂のようなものは雄花で、髭のようなものは雌花の雌蕊です。因みに、本日の歩数は10,584でした。
閑話休題、『良寛――旅と人生』(松本市壽編、角川ソフィア文庫)を読んで、良寛が子供たちとの鞠突きだけの人ではなかったことを知りました。
良寛は、禅僧ですが、寺の住職にはならず、生涯、修行僧のように里の家々を托鉢して回りました。そして、その生涯に多くの和歌、俳句、漢詩を作っているのです。さらに、最晩年には40歳も年下の美貌の尼僧と心を通わせ合っているではありませんか。
●霞立つ 永き春日(はるひ)に 子どもらと 手まりつきつつ この日暮らしつ
●五月雨(さみだれ)の 晴れ間に出(いで)て ながむれば 青田涼しく 風わたるなり
●鉄鉢(てっぱつ)に 明日の米あり 夕涼み――「鉄鉢」は托鉢僧が用いる鉄製の鉢です。
●盗人に とり残されし 窓の月
●初しぐれ 名もなき山の おもしろき
●世の中に まじらぬとには あらねども ひとり遊びぞ 我は勝れる――この歌は、行灯の下で読書する良寛の自画像の讃として書かれたものです。
●老いが身の あはれを誰に 語らまし 杖を忘れて 帰る夕暮れ
●惜しめども 盛りは過ぎぬ 待たなくに 尋(と)め来るものは 老いにぞありける――「尋め来る」は「訪ねて来る」の意です。
●ぬばたまの 今宵は酔(え)ひぬ うま酒に 君がすすむる このうま酒に――「ぬばたまの」は「今宵」の枕詞です。良寛は酒も煙草も好きでした。
●焚くほどは 風がもて来る 落葉かなーー長岡藩主・牧野忠精が良寛を城下に招きたいと庵まで訪ねてきた時、良寛は無言のままこの句を示したそうです。
●手ぬぐひで 年をかくすや 盆踊り――良寛は盆踊りも大好きでした。
●いついつと 待ちにし人は 来たりけり いまは相見て 何か思はむ――いつ来るか、いつ来るかと待ちに待った40歳年下の貞心尼がやって来た姿を見て、死期が迫った良寛は「思い残すことはない」と詠んだのです。
良寛の清廉な生涯と多彩な作品を知るには、恰好の一冊です。