クマノミは性転換するが、そのややこしさったら半端じゃない・・・【情熱的読書人間のないしょ話(550)】
夕刻から、夕暮れの鳴く虫「感」察会に参加しました。ササキリ、カネタタキ、エンマコオロギ、アオマツムシなどの鳴き声を楽しむことができました。ツチイナゴの褐色の成虫と黄緑色の幼虫を一枚の写真に収めることができました。ススキとオギはよく似ているので見分けるのが難しいのですが、植物に詳しい人からノギ(穂の先端の細い毛のようなもの)があるのがススキと教わりました。因みに、本日の歩数は18,390でした。
閑話休題、『魚はエロい(オールカラー版)』(瓜生知史著、光文社新書)は、魚の生態行動に魅入られた水中カメラマンが長年に亘り撮り溜めてきた海の生物たちの思いがけない行動の写真集です。
写真だけでなく、そこに付された解説にも驚かされます。
例えば、性転換するクマノミは、こんなふうです。「クマノミが、一躍世界中の子供たちの人気者になったディズニーのアニメ映画『ファインディング・ニモ』。多くの人たちがクマノミに親しみ、さらに様々な海中の生物に興味を持つ機会を与えてくれた、素晴らしい作品だ。ニモは、クマノミではあるが、日本名のクマノミではなく、カクレクマノミでもなく、オーストラリアに生息する『クラウンアネモネフィッシュ』という種類の魚である」。
クマノミは性転換するというので、びっくりしてしまいました。その生態は、「①仔魚はオス・メス両方の性を持って生まれ、環境依存でどちらかの性になるが、基本的にはオスになる。②オスからメスに性転換できる(雄性先熟)。メスがいないと強いオスがメスになる。③メスからオスには性転換できない。メスは死ぬまでメスである」というだから、クマノミの性は何とも複雑です。ニモが大好きな子供たちには、ないしょにしておいたほうがよさそうですね。
「性転換する魚類において、体長と生息密度は性転換の際のとても重要な決定因子だ」。
「一所懸命育ててきた卵だが、ふ化すると仔魚は、その場に留まらず水面に向かって泳ぎ出す。水面付近に辿り着いた仔魚は、潮流に流され拡散していくため、元のイソギンチャクに戻ってくることはない」。
「イソギンチャクとクマノミは共生関係にあり、教科書に載るほど有名だ。・・・クマノミ側の利点は、刺胞毒のあるイソギンチャクを棲み家にしているため、捕食者に狙われにくく、クマノミが毒のあるイソギンチャクの中で生きていけるのは、体表の特殊な粘膜が体を守ってくれるからだ――となるが多くの本ではイソギンチャク側の利点については書かれていない」。この点は、ぜひとも知りたいところです。
「クマノミはイソギンチャクの捕食者であるチョウチョウウオを追い払っているのだ。・・・クマノミはイソギンチャクをシェルターとして使うと同時に、捕食者から守り、成長を促しているという相利共生の関係が保たれていることになる」。
初めて知ることがてんこ盛りの一冊です。