榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

優等生で学校一の美少女の中学3年生が転落死した謎に挑む・・・【情熱的読書人間のないしょ話(807)】

【amazon 『宝を探す女』 カスタマーレビュー 2017年7月8日】 情熱的読書人間のないしょ話(807)

散策中に、白色の花を咲かせたアガパンサスを見つけました。パン屋で昼食を済ませた後、パン屑を撒いて子スズメたちの写真を撮ろうと試みましたが、失敗に終わりました。久しぶりに、我が家のキッチンの磨りガラスにニホンヤモリが姿を現しました。じっと同じ姿勢を保っていますが、ガなどの獲物が明かりに引き寄せられてくると、素早く近づき、パクッと銜えます。因みに、本日の歩数は13,834でした。

閑話休題、『宝を探す女』(逢坂剛著、角川文庫)には、いずれ劣らぬ、逢坂剛一流の捻りの利いた短篇が5つ収められています。

とりわけ唸らされたのは、『転落のロンド』です。

「わたし」こと岡坂神策の中学時代の同期生・阿曽登美子の夫である信吉が、中学3年生の息子・孝義の同級生・小山田セツ子を転落死させた容疑で逮捕されます。登美子に頼まれた岡坂は、向かいに事務所を構えている弁護士・桂本忠昭を紹介します。

桂本に依頼され、岡坂は関係者たちの調査を進めていきます。

孝義も、生徒の親も、担任の教師も、死んだセツ子は優等生で、学校一の美少女で、誰とも仲がよく、敵がいない生徒だったと口を揃えますが、一人の生徒・中村日出子だけが正反対の証言をするではありませんか。

セツ子の裏の顔を追求するにつれて、犯人像は二転三転します。登場人物たちの思惑が交錯し、事件は複雑な様相を呈しながら、思いがけない終局に向かいます。