日本のカエル、サンショウウオ、イモリの図鑑の最新版・・・【情熱的読書人間のないしょ話(882)】
我が家の庭の片隅で、ヒガンバナとシロバナマンジュシャゲが咲き始めました。女房に言われて、タイワンホトトギスとツユクサも咲いているのに気がつきました。散策中に見かけたアサガオの花は、白と青の色合いがヴァラエティに富んでいます。因みに、本日の歩数は10,969でした。
閑話休題、『日本のカエル――+サンショウウオ類(増補改訂)』(松橋利光写真、奥山風太郎解説、山と溪谷社)には、日本のカエル全46種(亜種を含む)、サンショウウオ、イモリの生態写真が掲載されています。
例えば、ニホンアマガエルについては、「アマガエルは一か所で長く休んでいるとき、その場所に近い色に変化することが多い。葉の上では明るい緑色、土の上では薄い茶色、木の上では濃い茶色、石壁の上でも石壁と同じ色、コンクリートの上では薄い灰色」と説明されており、実際にそれらの色に変化したカエルたちの写真を見ることができます。
よく似ているトウキョウダルマガエルとトノサマガエルについて、興味深いことが書かれています。「東京近辺の田んぼには、小さなかわいいアマガエルと、大ぶりで顔のとがったカエルがいる。そして後者をほとんどの人がトノサマガエルと呼んでいる。ところが本書のトノサマガエルのページを開いてみると、関東地方から東北地方の南部にかけては、分布の穴がぽっかりと開いている。実は、関東で多くの人がトノサマガエルと思いこんでいるカエルは、近縁とはいうものの、別種であるトウキョウダルマガエルなのである。トウキョウダルマガエルは、関東地方から仙台平野にかけて分布している。一方、トウキョウダルマガエルと亜種の関係にあるナゴヤダルマガエルは、東海地方を中心に、瀬戸内海沿岸から中部地方の一部に分布する」。
「これらの3種類のカエルの祖先は、中国大陸東部にたどることができる。今から数十万年前の氷期。海綿が低くなり、大陸と日本列島が陸続きになっていた頃、この祖先が日本列島へ徐々に分布をひろげてきた。間氷期になって海面が上昇し、日本列島が大陸から分断されると、孤立して分化が進み、日本固有のトウキョウダルマガエルとなった。さらに火山活動や地殻変動などによって富士山や箱根、伊豆半島の山地帯が形成され、ここでトウキョウダルマガエルは東西に分断された。これが現在、東日本にトウキョウダルマガエルが、西日本にナゴヤダルマガエルが見られる理由だ。その後、氷期が訪れ、ふたたび大陸と日本列島が陸続きになると、今度は中国大陸にいたトノサマガエルが、日本列島へ分布をひろげてきた。より寒さに強いトノサマガエルは、他の2種よりも優勢に分布をひろげたが、やはり、太平洋岸からは富士・箱根火山帯と伊豆半島が壁となって関東地方へは進出できなかった」。これは遺伝子解析等に基づく仮説ですが、説得力があります。トノサマガエルはトウキョウダルマガエルに棲息地を追われたため、関東地方からいなくなったと思い込んでいた私の誤解が正されました。
最近、読んだ『先生、犬にサンショウウオの捜索を頼むのですか!――[鳥取環境大学]の森の人間動物行動学』(小林朋道著、築地書館)に登場するカスミオオサンショウウオの姿――卵嚢、幼生、変態間近の幼生、成体――を、鮮明な写真で見ることができました。