榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

世界には、こんなにたくさんのサルの仲間がいるのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1049)】

【amazon 『世界で一番美しいサルの図鑑』 カスタマーレビュー 2018年3月8日】 情熱的読書人間のないしょ話(1049)

サンシュユが黄色い花を咲かせています。マンサクも黄色い花を付けています。あちこちでウメが芳香を漂わせています。ツバキの花が落ちています。オオイヌノフグリがかわいい青い花を咲かせています。

閑話休題、『世界で一番美しいサルの図鑑』(京都大学霊長類研究所編、エクスナレッジ)を手にして、世界には、こんなにたくさんのサルの仲間がいるのか、と驚きました。

本書では、世界中の霊長類が棲息地――南米、アジア、マダガスカル、アフリカ――ごとに紹介されていますが、その多様性には目を瞠らされます。

ユニークな顔貌という点に絞っても、南米のクロアタマヨザル(大きな目)、アカウアカリ(真っ赤な顔で坊主頭)、ヒゲサキ(二つに分かれた頭)、アジアのアカスレンダーロリス(大きな目)、アカアシドゥクラングール(目尻が吊り上がった目)、キンシコウ(上を向いた鼻孔)、テングザル(天狗のように長い鼻)、ゴールデンラングール(黒い顔とふさふさとした頭部の毛)、ダスキールトン(白い眼鏡をかけたような顔)、クロザル(思いっ切り面長な顔)、ベニガオザル(瞼の部分が赤い)、キタホオジロテナガザル(雌の全身は白色の房毛に覆われている)、マダガスカルのニシアバヒ(きょとんとした感じの顔)、インドリ(丸くて大きな耳と目)、コクレルシファカ(顔の輪郭と鼻が白い)、クロキツネザル(全身真っ黒で顔の毛がけば立っている)、ワオキツネザル(長くて目立つ、黒と白の縞模様の尾)、アフリカのショウハナジログエノン(鼻のてっぺんの白いハート・マーク)、ブラッザグエノン(長い白鬚を生やした水戸黄門のような風貌)、アカオザル(白い鼻と頬髯)、ブルーモンキー(顔一面が吹雪といった感じ)、マンドリル(真っ赤な鼻と、鼻筋の両脇の空色の隆起)、ゲラダヒヒ(赤いネクタイのような首元と胸の毛がない部分)、アンゴラコロブス(頬と肩にかけての白くて長い毛)――などなど、枚挙に暇がありません。

それぞれのサルの写真が美しく、解説が充実している点で類書を圧倒しています。

京都大学霊長類研究所編だけあって、巻頭と巻末の小論文的解説は興味深い内容となっています。