鳥類は、ティラノサウルス類と類縁の獣脚類恐竜の子孫である・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1210)】
散策中、キアゲハ、サトキマダラヒカゲ、イチモンジセセリに出会いました。ニラが白い花を咲かせています。因みに、本日の歩数は10,486でした。
閑話休題、『8つの化石・進化の謎を解く[中生代]――化石が語る生命の歴史』(ドナルド・R・プロセロ著、江口あとか訳、築地書館)では、三畳紀からジュラ紀、白亜紀まで、約2億5200万~6600万年前までの化石発見の歴史が扱われています。
一番人気の恐竜ティラノサウルス・レックスよりも巨大な肉食恐竜がいたというのです。「アマチュアの化石ハンター、ルーベン・ダリオ・カロリーニによって、1993年にアルゼンチン南部の下部白亜系から発見された。その化石は1995年に、ギガノトサウルス・カロリニイと命名された。・・・後肢とほぼ完全な脊柱、そして大まかな頭骨と骨格にもとづけば、ギガノトサウルスの最大の個体は約14.2メートル、重さは6.5~13.8トンだった。これは、T・レックスの最大の個体(13メートル、8トン)よりもかなり大きい。したがって、史上最大の捕食者にもっともふさわしいのはギガノトサウルスである」。
最初の鳥アーケオプテリクス(始祖鳥)の記述には、ダーウィンが登場します。「(アーケオプテリクスの化石は)不完全な状態ではあったが、骨はまさに爬虫類のようでありながら、明らかに翼に羽毛があるという事実を彼(リチャード・オーウェン)は見逃さなかった。この発見は別のイギリスの博物学者にとって天の恵みだった。その博物学者とはチャールズ・ダーウィンである。ダーウィンは物議をかもす新しい著書『種の起源』をその2年前の1859年に出版したばかりだった。進化の現実味について十分な論証をしたにもかかわらず、理論を支持するよい移行化石がないことを彼はわびねばならなかった。完璧なタイミングで、主張を裏づけるのにぴったりな移行化石としてアーケオプテリクスが現れたので、彼は舞い上がった。爬虫類がどう進化して鳥類という完全に別のグループになったのかを示す、これほど完璧な例があるとは思ってもいなかったのだ」。
「ベルリン標本は何度も何度も研究されており、アーケオプテリクスについてわたしたちが知っていることの大半の基礎となっている。また、この標本はほぼ完全で、恐竜のような特徴と鳥類のような特徴の融合が明確に示されており、進化のミッシングリンクとしてはロンドン標本よりもさらに優れている」。「羽弁の前縁の近くに羽軸がある、典型的な非対称の風切り羽が現れたのがアーケオプテリクスであり、このため、アーケオプテリクスが長く先祖から受け継いできた羽毛を真の飛翔用に変化させた初の移行的な『恐竜鳥』の一つだったと多くの科学者が考えている」。
いよいよ、我ら哺乳類のお出ましです。「原始的な有羊膜類から哺乳類への移行は、じつに豊富な単弓類内の移行化石で示されているため、一番重要なミッシングリンクとして特定の化石を一つあげるのは不可能だ。だが、どうしても一つだけ選ばなくてはならないなら、トリナクソドンがいいだろう。・・・トリナクソドンは最初期のキノドン類の一つで、単弓類が哺乳類に進化する最終段階の特徴が多く見られる最初の化石である。前期三畳紀(2億5000万~2億4500万年前)の南アフリカのボーフォート層群によく見られ、ほぼ完全な標本がたくさんあるため、ほかの多くの単弓類に比べて生体構造と習性がよくわかっている」。トリナクソドンは、イタチのような姿をしており、毛や横隔膜や咀嚼できる歯など哺乳類のような特徴を多く持っているのです。
「後期三畳紀にはキノドン類は死に絶え、疑いの余地のない哺乳類(歯骨――鱗状骨関節と複雑な臼歯を持つ)が出現した(メガゾストロドンなど)。それらはトガリネズミぐらいの大きさしかない生物だったが、台頭してきた巨大な恐竜が席巻する世界で生きていた。その後、1億2000万年間(哺乳類の歴史の3分の2)、こうした中生代の哺乳類は小さいまま生きのび(トガリネズミからラットサイズ)、複雑な歯やほかの特徴を進化させていった。恐竜に見つからないようにやぶの中に隠れ、恐竜が寝ている夜間に活動した。そして、6500万年前に非鳥類型恐竜が死滅すると、哺乳類がこの惑星を受け継いだのである」。
多数の図が掲載されているが、化石の写真と、生きている姿の復元図が並べられているので、理解を深めることができます。