大事なことは全部、里山が教えてくれた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1220)】
散策中、普段、ミシピッピアカミミガメばかりが目立つ調整池で、これまで見たことのないカメ2匹が連れ立って泳いでいるのに気づきました。クサガメとニホンイシガメの交雑種・ウンキュウかもしれないと思い、カメに造詣の深いT.T.氏に尋ねたところ、ミシピッピアカミミガメの変異個体とのことでした。ミンミンゼミ、アブラゼミ、シオカラトンボが未だ頑張っています。因みに、本日の歩数は10,527でした。
閑話休題、『カラス先生のはじめてのいきもの観察』(松原始著、太田出版)には、著者の故郷の里山における、さまざまな生物との出会いが記されています。
著者が育ったのは奈良の奈良公園に近い山裾で、私は東京・杉並の荻窪育ちという違いがあるものの、そして、育った年代に20年余りの差があるものの、身近な生物との出会い体験が非常に似通っているので、びっくりしてしまいました。
「正直言って、私には里山に対して確固たる印象がない。実家のあたりの『里山』、つまりコナラやクヌギの薪炭林は、とっくに放棄されてタケ藪やスギ植林と入り混じっていたし、面積も大したものではなかった。・・・私は常緑樹のみっしり茂った山も、藪っぽい山も、大好きである。どうも『良い山』=『きちんと手入れしている』と信じている人がいるらしく、落ち葉や藪を残していると『山が荒れている!』と怒りだすらしいのだが、私は決してそうは思わない。・・・藪の中に潜って遊んでみれば、尚の事である」。全く、同感です。私たちは落ち葉や藪に心ときめくのです。
ジョウビタキ、ホオジロ、シジュウカラ、ムクドリ。テン、イタチ、タヌキ、シカ、イノシシ。スズキ、スジエビ、クサガメ、カムルチー、イワナ。キイチゴ、アケビ、クズ、アナグマ、キツネ。ボルボックス(オオヒゲマワリ)、アブラコウモリ、クビワオオコウモリ。ヤモリ、オオミズアオ。コサギ、アビ、ノスリ、カササギ、アオサギ、カラス。タイコウチ、ミズカマキリ、タガメ、ミツバチ、カゲロウ。カブトムシ、クワガタ、スズメバチ、グンバイムシ、カマキリ、アリ、チャドクガ――と、登場する生物は多種多彩です。
「この道は『山の辺の道』、奈良時代以前から残る古道の一部だ。だが、一体誰が、飛鳥時代の昔に思いを馳せることができるだろう? たった40年前の面影さえも失ってしまった場所に? ツバメもトンボも飛ばず、カエルも鳴かない地のどこを『やまとは国のまほろば』などと呼べるのだろう? 一体ここはどこなのだ? 帰省するたび、自分が帰るべきところを半分くらい失ったような、そんな思いにとらわれる」と、本書は結ばれています。環境の変化は残念なことだが、本書を開けば、当時の里山の豊かな生態系が生き生きと甦ってきます。
私事だが、現在、私が暮らしている千葉の柏・流山地区では、ツバメを初め、さまざまな野鳥を観察することができます。何種類ものトンボ、チョウ、セミを見ることができます。ちょっと足を延ばせば、いろいろな種のカエルの鳴き声を耳にすることができます。アブラコウモリも飛び回っています。このような環境に感謝しながら、毎日、散策+自然観察を楽しんでいます。