榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

新幹線から見えるマンションの部屋の窓際に、連日、全裸で立つ女・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1280)】

【amazon 『黄昏流星群(58)』 カスタマーレビュー 2018年10月24日】 情熱的読書人間のないしょ話(1280)

福島・裏磐梯の紅葉を心ゆくまで楽しみました。

閑話休題、コミックス『黄昏流星群(58)――アンドロイド星雲』(弘兼憲史著、小学館)に収められている「車窓の星」は、短篇のミステリ小説の趣を備えています。

主人公の土岐孝太郎は、30年勤めた検察庁を辞め、司法修習生同期の松浦の弁護士事務所に籍を置いて働いています。松浦法律事務所は熱海にあるため、土岐は毎日、新幹線で東京~熱海間を通勤しています。

彼は、帰宅するため東京へ向かう新幹線の中で缶ビールを飲むのを楽しみにしています。新横浜を越えて品川に近づき、新幹線のスピードが徐々に落ちてきた時、あるマンションの部屋の窓辺に全裸の女性が立っているのに気がつきます。しかも、連日です。「向こうから『見て』と言わんばかりに、部屋の電気をつけて窓際に立っているんだ」。

どういう女性が、何のために全裸で立っているのか、元検事の血が騒いだ土岐は、マンションを突き止め、思い切って、その女性に会いにいったのです。

彼女の説明には不審な点が多く、土岐は納得がいきません。どうも、8年前の迷宮入り事件が絡んでいるようなのです。そして、思わぬ展開が・・・。