榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

動物園の動物たちの四季のエピソード集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1332)】

【amazon 『春・夏・秋・冬 どうぶつえん』 カスタマーレビュー 2018年12月13日】 情熱的読書人間のないしょ話(1332)

師走の東京・銀座~日本橋を散策しました。因みに、本日の歩数は20,151でした。

閑話休題、『春・夏・秋・冬 どうぶつえん』(森由民著、東洋館出版社)には、動物園の動物たちの四季のエピソードが満載です。添えられている動物たちの絵が、ほのぼのとした味わいを醸し出しています。

春の動物園の「インドクジャク――恋のアピール合戦 動物園に雄叫びを響かせる」には、意外なことが記されています。「これまで、オスクジャクの人気度合いは、羽の美しさ次第と考えられてきました。しかし、インドクジャクを放し飼いにしている伊豆シャボテン動物公園で行われた、生物学者の長谷川眞理子さんらの調査で意外な結果が出ました。飾り羽でもっとも印象的なあの目玉模様の数と、メスたちの反応には確実なつながりがなかったのです。それよりモテの基準となっていたのが、鳴き声の大きさでした。声の大きさは、雄性ホルモンの量と関係していることもわかっています。私たちにはダミ声のように聞こえてしまうあの声に、春のメスクジャクはうっとりと耳を傾けるのです」。

夏の動物園の「レッサーパンダ――リンゴの短冊で七夕に何を願う?」では、彼らが2本足立ちできる理由が明らかにされています。「2本足立ちはレッサーパンダの習性です。多くの肉食獣の足は、私たちでいう爪先立ちです。指に力を集中して地面を蹴り、ハンティングのために走ります。しかし、レッサーパンダは私たちと同じように、足の裏全体を地面につけて立ちます。このため、難なく立ち上がれるのです」。

秋の動物園の「ニホンリス――冬の訪れを前に木の実をためこむ」では、数量的なデータが示されています。「ある調査によると、ニホンリスは手に入れたクルミの実の4割ほどをすぐに食べてしまうそうです。残りは落ち葉に埋めたり、木の枝のつけ根にはさんだりします。ニホンリスは冬眠しません。そのため、冬のあいだの食料をあちこちに隠しておくと考えられています。なかなか計画性があるなと思いますが、実際に冬に食べるのは、隠したクルミの、さらに4割程度。残りのクルミのうち、一部は野ネズミなどが盗み食いし、それ以外はそのまま放置されます。これらのクルミのなかから、やがて芽吹き、ニホンリス自身を養う次の世代の森の木になっていくものが出るのです」。

冬の動物園の「ニホンヤマネ――半年間、丸まったまま! 究極の省エネおこもりスタイル」では、ニホンヤマネの冬眠の特徴が述べられています。「4本の足をきゅっと縮め、時には前足で目隠しするようなかたちになっていることもあります。そうやって丸まるのが、秋の終わりから春の始めまで、およそ半年にわたるニホンヤマネの冬眠の姿です。クマなどの冬ごもりでは体温は外界よりも高く保たれ、うつらうつらという感じですが、ニホンヤマネの場合、0℃近くに下がり、丸まった姿勢で、それ以上の放熱を避けながら、ひたすら休眠し続けます」。