正統的ではあるが、独特の世界観が漂う岩宮武二の写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1414)】
【amazon 『美とかたち 岩宮武二の仕事』 カスタマーレビュー 2019年3月4日】
情熱的読書人間のないしょ話(1414)
オタフクナンテンが紅葉しています。岩宮武二の写真「海士」には、衝撃を受けました。
写真集『美とかたち 岩宮武二の仕事』(岩宮武二写真、光村推古書院)には、正統的ではあるが、独特の世界観が漂う岩宮武二の写真が収録されています。
岩宮は、自身の撮影について、こう記しています。「私は、われながら無策とおもえるほどの位置にカメラを構えた。対象をたくみに写そうとするのではなく、あるがままに写すことが、この場合、最上の方法であるとおもった。けれども、私はあるがままに写すことのいかにむずかしいことか、よく知っているつもりだ。あるがままに写して、ものの見性をつかみとることは、なまやさしいわざではない。しかも、ものとものとが出合いによって微妙に照応するすがたや『止静』の見性を定着しようとするのだから、いよいよもってやっかいである」。
私の印象に強く残ったのは、「揚がらぬ凧 旧小木町 昭和29~36年頃」、「海士 舳倉島 昭和30年」、「夕景 八坂五重塔(法観寺) 昭和53年以前」、「一休禅師木像 酬恩庵一休寺 昭和46年以前」、「雨の洲浜 仙洞御所 昭和40~43年頃」、「寒い朝 大釈迦 青森県 昭和44~46年頃」――です。
「海士 舳倉島 昭和30年」の、細い紐を腰と股に着けただけの、全裸に近い海女たちの姿は衝撃的です。
動画でなく、一瞬を切り取る写真に拘っている私にとっては、大変勉強になりました。