榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

経済学者が自らの学問、読書、執筆について語り尽くした一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1481)】

【amazon 『経済学者の勉強術』 カスタマーレビュー 2019年5月10日】 情熱的読書人間のないしょ話(1481)

キタキチョウをカメラに収めました。黄色い花を咲かせたキンランを見つけました。あちこちで、シャクヤクが薄桃色の花を咲かせています。カキツバタの紫色の花が風に揺れています。ピラカンサ(トキワサンザシ)が小さな白い花をまとっています。我が家の庭では、オダマキが紫色の花を下向きに付けています。赤いサツキが咲き始めました。因みに、本日の歩数は10,159でした。

閑話休題、『経済学者の勉強術――いかに読み、いかに書くか』(根井雅弘著、人文書院)では、経済学者・根井雅弘が自らの経済学との関わり、読書遍歴、自著、書評などについて語っています。

書き方の参考書として、『論文の書き方』(清水幾太郎著)、『文章読本』(丸谷才一著)と並んで、『理科系の作文技術』が挙げられています。「学者の世界では、木下是雄『理科系の作文技術』が評判が高い。『理科系』というよりは、学問的・科学的に論理展開がしっかりした文章を書けということだが、この本は、想像するに、日本語から簡単に英語に移せるような文章を書けと言っているようにも思える」。

知識と教養は違うと述べています。「私は、単なる『知識』と『教養』は分けて考えたほうがよいこと、そして『教養』とは知識の寄せ集めではなく、長年、幅広い読書やゆとりのある思索の時間からある種の『化学反応』を経て生まれてくる何物かであることを指摘したかった。・・・教科書のなかのスミスの解説しか読んだことのない人と、『国富論』全体を読んだ人のあいだには見えない差ができるのは確実である」。

ジョン・メイナード・ケインズは誤解されていると嘆いています。「ケインズが時と場合によっては財政を赤字にしてでも公共投資をすべきだと言ったことがあるのは事実なので、いつの間にか、『ケインズ政策=(赤字財政を伴う)財政出動』という些か誤解を招きやすい理解が定着してしまったのだが、偉大な経済学者の思想はそれほど単純ではないものだ。・・・ところが、世間では、相変わらず、不況になるたびに、その国の経済が置かれた状況を考慮せずに、財政出動を要請するような人たちを『ケインジアン』と呼んでいる。実は、ケインズほどこのような紋切り型の政策提言から無縁だった経済学者はいないのだが、そうなった原因は、ケインズの『思考回路』を探るというよりは、『一般理論』のなかに出てくる特定の文章を、いわば『丸暗記』のように覚え込んでしまったことにあるのではないか」。