シンプルな生き方こそ素晴らしい・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1518)】
一日中、雨が降り続く日は、「歩く」と「撮る」を休み、「読む」と「書く」に集中します。我が家のナツツバキ、コクチナシ、スカシユリ、装飾花(萼)が薄紫色のアジサイが咲き始めました。
閑話休題、エッセイ集『私が選んだもので私は充分――バック・トゥ・レトロ』(ドミニック・ローホー著、原秋子訳、講談社)の底には、シンプルな生き方こそ素晴らしいという考え方が流れています。
「私たちはつねに、次に行く旅行、次に買う家、次の出世、というように、『将来』に目を向け、目標を掲げてはいますが、それが逆に私たちの意識を鈍らせ、『現在』を充分に満喫することを妨げているのです。現在にしっかり根差した時間のすごし方を習慣にしてみませんか」。
「インスタグラムのようなSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、つねに自分と他者との比較を可能にするため、そこには私たちの満たされない欲望がはっきりと表れます。今の時代、私たちの自己評価は下がるばかり。自分の持ち物では満足できず、よりリッチなライフスタイルを追い求めようとします。でも、そうするといつまでたっても自分の居場所でくつろぐことができなくなるのです。・・・いつもいつも自分のライフスタイルを高めていきたいと願いつつも、そのために悩んでいるあなた。悩むのをやめて、自分に何が合っているのか、何なら満足できるのかについて、じっくりと考えてみるとよいでしょう」。
「忙しい時間のあとにはくつろぎのひとときが待っているという、緩急のある暮らしはできていますか? 恐らく、自分でコントロールしないかぎり、緩急をつくれなくなっているのが現実です。ピンと緊迫した状態が圧力となって、さらにそれが持続するのです。それは目的のない動き(ムーブメント)だけの世界、まるでラットレースです。もちろん仕事は効率よく回るでしょう。でもその本源的な意義は失われ、満足感も得られません。すると人は、人生を惨めなものと思うようになり、周囲の人たちが嫌になり、自分自身にも嫌悪感を抱くようになるのです。だからこそ今多くの人が、本能的にシンプルな生き方を求め始めたのだと思います」。