人前で話す技術が、しっかり身に付く一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1617)】
車の窓に葉っぱが貼り付いていると思ったら、黄緑色のワカバグモの雌でした。リンゴ、カキ、ミカンが実を付けています。急にミカンが食べたくなって、スーパーで熊本産、宮崎産のミカンを求めました。どちらも小粒だが、甘さは十分です。因みに、本日の歩数は10,435でした。
閑話休題、『齋藤孝が読む カーネギー<話し方入門>』(齋藤孝著、創元社)は、デール・カーネギーの『カーネギー話し方入門』のエッセンスに齋藤自身の考え方・経験を加味したものです。
人前で話すとき、「緊張したら『ま、いいか、殺されるわけじゃないし』とつぶやこう」とアドヴァイスしています。
スピーチの要点を覚えるには、「記憶をつなぎあわせて、ひとつの文章をつくってしまうことです。たとえば『牛、葉巻、ナポレオン、家、宗教』とポイントが続く場合を考えてみましょう。これをつなぎあわせて、こんな文章にしてみるのです。『牛が葉巻を吸って、ナポレオンを角で引っかけたら、家が宗教とともに焼け落ちた』。ついでに牛が葉巻を吸って、ナポレオンを引っかけ、家がぼうぼうと燃えているところを想像してみます。・・・こんなふうに覚えたい言葉をつないで、面白い文章をつくってしまうと、記憶にしっかり残ります。文章は荒唐無稽なほど印象に残るので、面白いものをつくってみるといいでしょう」。この方法は、面白いだけでなく、役に立ちそうなので、早速、試してみることにしました。
人前で話す技術が、具体的に4つ挙げられています。
①重要な言葉を強調し、熱を持って伝える。「若いみなさんがどうやってスピーチに強弱をつけるのか、その方法ですが、ひとつは『声を張る』というやり方があります。重要な部分にきたら、『これこれなんですよ!』と声を張って、強調している感を出せばいいでしょう。『みなさん、これが一番言いたいことです』とはっきり言ってしまってもいいと思います。ふつうのときにはふつうの声で、重要なところでは声を張るという強弱のつけ方です。・・・俗に言う、お腹の底から声を出す、と思えばいいでしょう。・・・もうひとつ、若いみなさんがスピーチに強弱をつけるとき、やっていただきたいのは、話の中で強調したい部分を、本気ですごいと思うことです。・・・自分が熱量を持って、強調して話すから、その熱が相手の心を打つのです。話し手がすごいと思っていないものに、相手が感動するわけがありません。自分が本気で感動することが大事です」。
②声の調子を変え、変化をもたせる。「自分の声が高すぎると思ったら、少し低めの落ち着いたトーンでやってみるのもいいですし、ふだん落ち着いている人なら、ちょっとテンション高めでやってみるのもいいでしょう。・・・声の調子を変えるというのは、声を高くしたり、低くするだけではありません。重要なところでは声を張る、そして急に小声にしたりして、変化をつけると、聴衆も飽きません。私もマイクを使って話しているときは、ときどき小声になって、『でも、まあ本当はこれは○○なんですけどね』とつぶやくようにしています。するとそのほうがみんなは聞いてくれて、笑いが取れたりします。・・・ほかにも私がよくやるのは、会話を織りまぜるやり方です。たとえばソクラテスとその弟子の話を、突然演劇風にやってみせるのです。『ソクラテスがこう言いまして、すると弟子はこう言ったんですね』とその様子を真似して見せると、トーンが変わってみんなの関心を引きつけます」。
③話す速度を変え、緩急をつける。「私はつね日頃から学生に、『強調したいときは、話す速度を落として、声は強めに』と言ってきました。・・・テキパキしたなかにも感情を動かすようなところがほしいわけです。情報はテキパキ伝えるのですが、ここだけは情を動かすというところだけゆっくり話す。・・・3段といっても、ふつうより速く話すか、ゆっくり話すかですから、情報を伝えたいときは速く、感情を伝えたいときはゆっくり、と覚えておくといいのではないかと思います」。
④重要なポイントの前後に間を置く。「間を置くのは、ちょっと勇気が必要です。でもそこでビビらないことが大事です。・・・間を置くといっても、5秒もあけたら『放送事故』のようになってしまいます。目安はひと呼吸でいいでしょう。ひと呼吸置いて、ポンと言う。それくらいでいいでしょう」。