榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

江戸時代の日本人は、こんなに日々を楽しんでいた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1638)】

【amazon 『さし絵で楽しむ江戸のくらし』 カスタマーレビュー 2019年10月12日】 情熱的読書人間のないしょ話(1638)

観葉植物のオリヅルランには、ソトフオリヅルラン、ナカフヒロハオリヅルラン、オリヅルラン・ポニー、アオバオリヅルランなど、さまざまな品種があります。ポトスは、ポトス・ライム、ポトス・マーブルクウィーン、ポトス・エンジョイ、ゴールデンポトスなどの品種を見かけます。

閑話休題、『さし絵で楽しむ江戸のくらし』(深谷大著、平凡社新書)は、当時に描かれた絵を見て楽しむ江戸案内です。

とりわけ興味深いのは、「老いてもなお健在?――シニア世代の大活躍」の、老いても元気な江戸老人の姿です。

「まずこの絵を見ていただこう。黄表紙『常々艸』の挿絵である。たくさんの孫たちに囲まれた老人の姿である。現代にも通じる光景であり、まさにリタイア後、のんびりと余生を送るシニアである。町人社会では50歳頃までに隠居するのが通例であったようである。・・・『隠居銀(いんきょがね。いんきょぎん)』と言って、余生を送るための貯金をそれまでに貯めておくのである。・・・次の絵をご覧いただきたい。黄表紙『松茸売親方』の挿絵である。・・・前々から所望していた茶碗をようやく入手した武士が茶の湯を嗜む姿である。・・・もう一つ絵をご覧いただきたい。黄表紙『文武二道万石通』の挿絵である。・・・右手前方には生け花をする1人の男、後方には蹴鞠を愉しむ2人の男性、また、左手奥にはお香、手前には茶の湯を愉しむ光景が描かれている」。

「次の絵をご覧いただきたい。滑稽本『世中貧福論』である。本文・挿絵とも十返舎一九の作である。老人が若い奉公人の女性と親密な関係になり家中が大騒動になっている場面である。老いてもなお精力旺盛なシニアは江戸時代にもいたのである。しかし、遊びも度が過ぎると問題である。レジャーや旅行、グルメあたりならいいが、男女間の問題となるとややこしくなるのはいつの時代でも同じである」。くわばら、くらばら。

江戸時代に生きた先祖たちの息遣いが伝わってくる本書のおかげで、彼らが身近に感じられるようになりました。