定年退職後も言葉遣いを劣化させない方法とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1751)】
カワセミが池の魚を捕らえ、どうだと言わんばかりに、こちらを向いた絶好のチャンスに、こんな不鮮明は写真しか撮れない自分の腑甲斐なさが、本当に腹立たしい! アンスリュームの黄色い肉穂花序と赤い仏炎苞、チューリップの赤い花、白い花をカメラに収めました。赤いツバキが咲き始めています。女房が摘まんだモミジバフウの実は、まるで線香花火のようです。因みに、本日の歩数は10,900でした。
閑話休題、『65歳から頭がよくなる言葉習慣――楽々の「メモる・言い換え・要約」のすすめ』(樋口裕一著、さくら舎)は、定年退職後の人たちの言葉遣いを劣化させない方法を提案しています。
著者の具体的な提案は、①「メモる」言葉習慣、②「言い換える」言葉習慣、③「要約する」言葉習慣――の3つです。
「メモる」言葉習慣について――。
「1日1行でいいから、書きましょう。自分で文章を作りましょう。これを1年間やればすごいことになりますよ。少なくとも言葉を思い出す能力は落ちないでしょう」。
「書きたいことを書く、言いたいことを書く、クレームをつけたいこと、楽しんだこと、面白かったことを、ほんの一言書く。それで十分なのです」。
「気楽に書きたいことをメモ書きしましょう。それだけでいいのです。それだけで、間違いなく何もしなかった人に比べて。語彙力が増し、文章構成力が維持できます」。
「『書きとめる』ことは記憶と直接結びついています。私は以前からブログをつづけています。・・・ブログを書いていると、まず忘れることが少なくなります。一度書いたことはけっこう覚えているものです。それに、忘れたら、ブログを見返せばいい」。
「(書いたものが他人に)読まれれば、文章を書く人は、次の段階に上がれます。観察力、表現力が磨かれ、つまりは頭がよくなります。そういう意味で、SNSは手軽でとても有効です」。
「われわれは、大いに発信しましょう。自分の書いた文章、メッセージを他人に届けましょう。届けなかった言葉は、まだ言葉ではありません。届けなかった文章は、まだ文章ではありません。他人の手を通じて、目を通じて、頭を通じて、完成された文章になりたがっている何か、なのです。文章の完成とは、書き手と読み手の交わる場に、共感、感動、反発などの力が発生することだからです」。
「言い換える」言葉習慣について――。
「会社に入れば、上司と同僚、部下には異なる言葉遣いで対応したでしょう。夜になり、場を変えて飲み屋でくだけた雰囲気がかもし出されてくれば、またそこでは別の言い回し、口調で親しみをあらわします。これらはすべて『言い換え』です。相手との関係につねに敏感さを失わず、たくさん用意された言葉のなかから最も適切な言い回しを口にします。定年の年齢を迎え、組織を離れると、言い換えをしなくなります。組織内の力学やお得意様に対する緊張感から解放されて、自己中心で日々を送っていると、知らぬ間に一つの言い方に固定していきます。言い換えをしないことは、相手に合わせない、相手に対する想像力がなくなることと同じです。悪いのは自分ではなく、相手であるという頑固な思い込みは、ボケのはじまりであり、クレーマーにも通じるところがあります」。
「言葉、文章に対する読解力も、物事に対する読解力も、『言い換え力』が関わっています。わかるとは、言い換えることなのです」。
「要約する」言葉習慣について――。
「『要約する』能力を身につけると、何が起こるか。一つは『飛ばし読み』ができるようになります。しかも速くできる。新聞を読むにしろ、雑誌を読むにしろ、本を読むにしろ、パッパッパッと目を走らせて、しかもわかる。これができるようになると、頭がよくなった実感があります。・・・最初に仮説を立てて、その検証をするために読んでいくのですね。仮説のとおりだったら、じっくり読む必要はありません。『何を言ってるかだいたいわかる』ということは、ものすごく大事なことです」。
「『要約する』とは、言い換えると『構造をつかむ』ということです。構造というと、論理的な組み立てを想像されるかもしれませんが、もっと端的に大事なポイントがあります。それは中に書かれていないかもしれませんが、絶対につかまなくてはいけないことです。『何に反対しているか』です。この文章は、この筆者は、何かに反対するために書いているはずだが、それは何か。これがわかったとたんに、すべてがわかります。記事も含めて、意見というものは必ず何かに反対しています。『みんなこう言ってるけど、それは違うぞ』とか、『こういうことを言ってる人がいるが、それは絶対おかしい』とか、『反対すること』が文章を書く駆動力になっているのです」。
「要約力がついてくると、自分が書くときもしゃべるときも、手短にすませることができます。・・・相手のためになることを、一つだけ言う。これがポイントです。そのために『要約力』を使うのです」。
「要約というのは、一種の聞く力です。●キーワードは何か、●何に反対しているのか、●相手が何を主張しているのか。これらをパッパッパッとつかむ」。
「(要約力が身につくと)新聞や本を読んでも、その内容を的確に話すことができるようになります。質問されても、肝心なところを押さえていますから、答えることができる」。