榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ダイアナの真実の恋・・・【山椒読書論(515)】

【amazon DVD『ダイアナ』 カスタマーレビュー 2015年4月3日】 山椒読書論(515)

英国王位継承順位第1位のウェールズ公チャールズの妃であったダイアナ・フランセスが世人が褒めそやすほどの美貌であったとは、天の邪鬼の私には思えない。そして、そのダイアナの最後の恋を描いた映画『ダイアナ』(DVD『ダイアナ』<オリヴァー・ヒルシュビーグル監督、ナオミ・ワッツ、ナヴィーン・アンド・リュース出演、Happinet>)が人々が酷評するような駄作とは思えない。  

不実な夫・チャールズと別居して3年、二人の息子とも離れ、ケンジントン宮殿で寂しく暮らすダイアナは、1995年、英国の病院で心臓外科医として働くハスナット・カーンと偶然の出会いをする。

これまでの恋人たちはダイアナとの関係を得意げに吹聴したがる男性ばかりであったが、カーンは違った。ダイアナを有名人としてではなく一人の女性として扱い、彼女の気持ちを深く理解し、彼女を真剣に愛してくれるカーンこそ、探し求めてきた真の恋人だと確信し、愛を深めていく。

カーンとの結婚を決意したダイアナは、カーンと共に彼の出身地・パキスタンを訪れるが、どうしてもカーンの母親の承諾が得られず、恋は終わりを告げる。 

この映画に描かれたダイアナとカーンの恋が事実であることは、ダイアナの死の直前までの10年間、執事として彼女の身近で仕えたポール・バレルと、ダイアナの友人でセラピストのシモーヌ・シモンズが証言している。また、ダイアナと懇意なカメラマン、ジェイソン・フレイザーの間接的な証言もある。

ということは、映画『ダイアナ』はフィクションではなく、ドキュメンタリー・タッチの作品ということになる。不幸な結婚の後に、真実の愛を追い求めたダイアナという一人の女性の貴重な記録なのだ。ダイアナは、その容姿でではなく、自分の心に忠実に生きた女性として記憶されるべきと考える。