コビトカバは、カバの子どもじゃないんだよ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2106)】
仲のよいハシブトガラスをカメラに収めました。我が家の庭の餌台に毎日やって来る常連のメジロ、シジュウカラたちを眺めていると、いつの間にか、かなりの時間が経ってしまうので、本当に困ります。
閑話休題、コビトカバに興味がある人にとって、『コビトカバに会いたい』(エクスナレッジ)は、最適な入門書です。
「体長1.5~1.7メートル、体重は大きな個体で240キロほど。その見て目と大きさからカバの子どもと間違えられることも少なくないコビトカバ(ミニカバ、リベリアカバとも)。実際、体長はカバのおよそ3分の1、体重はおよそ10分の1と、カバの子どもサイズなのですが、れっきとした大人です。カバより原始的な種といわれ、カバほどは水中生活に適応していません」。
カバは大きいのに、コビトカバは小さい「理由のひとつに、コビトカバは森林、カバは草原に生息するということがあります。草原に生えるイネ科の植物は消化しにくいため、そこで生活する動物は大型になる傾向があるのです。大型化や群れをなすことは、天敵に対抗する適応でもあり、双方を満たすカバの『強さ』がうかがえます。ただその大きさ(重さ)ゆえカバにとって陸上生活は負担が大きく、特に暑い日中は水に浮かんだり浅瀬でいねむりしたりと水辺を離れることはほぼありません。そして巨体を維持するため大量の餌が必要なカバは、夜になると水辺から3キロほど移動しながら4~6時間かけて採食。ときに10キロ先まで遠出することもあるのだとか」。
「両者の形態を比べると、耳と目、鼻の位置関係に特徴が見られます。主に水中で過ごすカバの耳と目と鼻は真っ先に水面から出るよう、頭の上の方に一直線に並ぶ配置となっています。また、カバには体温を調節する汗腺や皮膚腺の代わりにピンク(赤)に見える液体を分泌する腺があります。カバが『血の汗をかく』といわれたゆえんです。この液体には紫外線や細菌から皮膚を守る働きがあるといわれています。コビトカバの出す白い粘液も同じ役割を果たすものです」。
本書は、日本のどの動物園でコビトカバが見られるかのガイドブックも兼ねています。上野動物園では、コビトカバとカバを同時に観察することができます。
また、ジャイアントパンダ、オカピ、コビトカバが「世界三大珍獣」とされているが、これは国際的に認定されたものではなく、日本独自のものだと記されています。