榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

翻訳家の天国と地獄・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2157)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年3月10日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2157)

ヨシノツツジ(ツツジとシャクナゲの交配種。写真1、2)が咲き始めました。ブルビネラ・フロリバンダ(写真3、4)、リナリア・マロッカナ(写真5)、スノウフレイク(スズランズイセン。写真6)、ツルニチニチソウ(写真7)、ハナニラ(写真8)、アイリス・レディキュラータ(写真9)、ホトケノザ(写真10、11)、ヒメオドリコソウ(写真12~14)、オオイヌノフグリ(写真12、15、16)が咲いています。

閑話休題、『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記――こうして私は職業的な「死」を迎えた』(宮崎伸治著、三五館シンシャ)の著者には、心より同情してしまいました。

著者が翻訳家として経験した「ファンレター天国」、「平積みドッカン天国」、「次から次へと仕事が舞い込み天国」と、「いきなり印税カット地獄」、「重版印税無限カット地獄」、「出版日ずるずる遅らされ地獄」、「出版間際での出版中止地獄」、「きな臭(く)さメール地獄」が、臨場感豊かに描かれているからです。

「ひと昔前までの私は金銭欲も名誉欲も旺盛な俗物であった。だからこそ欲望に惑わされて関わってはならない人や出版社と関わり、さまざまな『地獄』に陥った。そしてその『地獄』の底で私は金銭も名誉も幸せを保証するものでないことを悟った。私は本書をお金儲けや名誉欲のために書いたのではない。『天国』も『地獄』も経験した私だからこそ伝えなければならないメッセージがあったから書いたのだ」。著者のこの痛切な思いは、十分に叶えられています。