大人にも役立つ『13歳からのイスラーム』・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2324)】
カラスアゲハの雄(写真1~6)、雌(写真1、7~9)が吸水しています。同じ場所で、アオスジアゲハ(写真10)も吸水しています。アカボシゴマダラ(写真11~13)、ヒカゲチョウ(写真14)をカメラに収めました。1時間半ほど、ギンヤンマのパトロール(写真15)を観察し、交尾も目撃したが、鮮明な写真は撮れず、残念! ホオジロの幼鳥(写真16)が盛んに鳴いています。
閑話休題、『13歳からのイスラーム』(長沢栄治監修、かもがわ出版)は、中学生に向けて書かれているが、大人にも役立ちます。
●イスラームとは?
「実は、イスラームも、イスラムも、イスラム教もみな同じ意味なのです。どれを使ってもかまわないのですが、この本ではもともとの発音にいちばん近い『イスラーム』を使っていきます。・・・イスラームとはアラビア語の言葉で、もともとの意味は、大切なものを他人にゆだねることです。610年ごろにこの地で、ムハンマドが神の預言者として知られるようになると、神に自分の身をゆだねることを意味するためにイスラームという言葉が使われるようになりました。なおイスラームでは、神のことをアッラーといいます」。
●ムスリムとは?
「イスラームという宗教を信じる人、イスラーム教徒をムスリムと言いますが、いまやその人口は約18億人で、世界人口の約20~25%を占めています。その数はますます増えつつあり、世界のいたるところに広がって住んでいます。ですからムスリムの人たちと、いまや日本のなかで出会うのもごく普通のこととなっています。観光客や留学生、外国から働きに来る人たちだけでなく、日本人のなかでもムスリムは増えています。ヴェール(スカーフ)をかぶったり、ひげを生やしたりしていなくても、ムスリムの人たちは同じ電車やバスに乗ってすぐ隣に座っているかもしれません」。
●コーランとは?
「(コーランは)『暗誦されるもの(口に出して唱えるもの)』という意味で、アラビア語では『クルアーン』といいます。コーランはすべてアラビア語で記され、全部で114章からなっています。それぞれの章はさらにいくつかの節に分けられます。3節だけのごく短い章もあれば、200節以上の長い章もあります。・・・神の言葉がすべて集められ一冊の本の形になったのは、ムハンマドの死後20年を経た650年ごろだったと言われています」。
●コーランの主題は?
「コーランの主題は大きく分けて4つあります。1つめは『神のこと』。神とはどのような存在なのかが、コーランのさまざまな箇所で語られます。2つめは『現世のできごと』。この世界がどのように生まれたのか、天地創造や人間の誕生、それから神の預言者たちや使徒たちにまつわるできごとについて語られます。3つめは『来世のできごと』。ここでは、現世には終わりの瞬間があり、その後来世が始まることが示されます。最後は、『人間に対する神の命令』です。そのなかには、礼拝や断食など宗教儀礼にかかわる命令と、食事や装い、家族や社会のあり方など生活にかかわる命令があります」。
●スンナ派とシーア派の違いは?
「スンナ派はムスリムの多数を占めるいわば主流派で、イスラームといえばスンナ派の信仰のことを指すことが多いです。シーア派は、代表的な分派です。現在はイラン、イラク、バハレーンなどで多数派となっています」。
●パレスチナ問題とは?
「『パレスチナ問題』は、パレスチナで100年以上つづくユダヤ人とパレスチナ住民との争いで、現在の中東で起こっているさまざまな問題の根底にあります。・・・パレスチナ問題は宗教対立が原因ではなく、ヨーロッパからのユダヤ人の移住者と現地の(パレスチナ)住民とのあいだの土地をめぐる争いなのです」。
●イスラエル国民は、パレスチナ問題をどう思っている?
「(ヨルダン川西岸とガザの)占領地からの撤退とパレスチナ人の国家樹立こそがイスラエルの平和にとって必要だという考え方は、一時期かなりのイスラエル人に支持されていました。しかし和平交渉が決裂し、両者が再び武力衝突し始めた2000年以後、状況は大きく変わりました。占領地からの撤退とパレスチナ人の国家樹立を支持する声は小さくなったのです。それでも、イスラエル人のなかには、入植地の拡大、分離壁の建設などに反対し、パレスチナ人と一緒に抗議行動をするグループや、パレスチナの子どもをイスラエルの病院で治療する人道的な医療関係者たちも少数ながらいます。占領地で取材をし、パレスチナ人への人権侵害などイスラエル政府にとっては不都合な事実を伝えている勇敢なイスラエル人ジャーナリストもいます」。