榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

安倍晋三政権は、虎の威を借る狐が巣くい、忖度する官僚が蠢く巣窟だった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2362)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年10月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2362)

カラスウリ(写真1~4)の実は色の変化が楽しめますね。空中で交尾中のギンヤンマを、突然現れた2羽のカワセミが襲ったが、間一髪で逃れた瞬間、ニホンイタチが慌てて溜め池に飛び込んだ瞬間を目撃したが、残念ながら撮影できず。9月に一旦咲き終えた我が家のキンモクセイ(写真11~13)が、10月に入ってから再度開花し、芳香を放っています。庭の隅でタイワンホトトギス(写真14,15)も頑張っています。

閑話休題、『伏魔殿――菅義偉と官邸の支配者たち』(望月衣塑子・田原総一朗・前川喜平・山田厚史・別冊宝島編集部ほか、宝島社)は、菅義偉が首相になる前、まだ官房長官だった時点で出版されているが、なかなか興味深いことが記されています。

●安倍一強状態がこれだけ長く続いたことで、『忖度の時代』という弊害が生まれた。森友・加計学園問題も忖度。厚労省が統計不正問題を起こしたのも忖度。『桜を見る会』で文書を廃棄するのも忖度。いかに忖度して官邸に気に入られるか、そんな人物ばかりが増えて、日本の中枢はおかしくなった――田原総一朗。

●この(伊藤詩織が山口敬之に性的暴行を受けたと訴えた)事件では、いったん裁判所が出した山口氏の逮捕状が執行直前に取り消されるという極めて異例の事態が起き、それを決裁したのが中村格警視庁刑事部長(当時)でした。警察官僚の中村氏は、菅官房長官の秘書官をつとめたこともある。いわば元・官邸官僚。山口氏は、自身の著書でもアピールしているように安倍総理と非常に親しい。となれば当然、なぜ、逮捕にストップがかかったのか、追及されるのは当然ですよね。山口氏は刑事で不起訴となったものの、民事訴訟では2019年12月、伊藤詩織さんが勝訴して、山口氏側に330万円の支払いを命じる判決が出ています――望月衣塑子。

●(官房長官)後藤田(正晴)さんは記者からの厳しい質問にすべて自分の言葉で答え、厳しい質問をする記者ほど歓迎していたというんですね。ときどき質問しないと「(いつも厳しい質問をする記者の)佐藤、どうした。今日は何もないのか』と逆に聞かれたり(笑)。後藤田さんは中途半端な質問をしたり、まったく質問しない記者を信用しなかったといいます。かつては度量のある政治家もいたし、聞く側にも遠慮や忖度はなかった。私は、それが正しい記者会見のあり方だと思っています――望月衣塑子。

●山口氏は『週刊新潮』の取材を受けたとき、致命的失態を演じている。同誌の取材依頼メールを、ある人物に転送しようとして、誤って『週刊新潮』に送ってしまったのだ。そこにはこう書かれていた。<北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。伊藤の件です>。『週刊新潮』は、この「北村」なる人物を警察官僚出身の北村滋・内閣情報官(当時)と断定している。このメールの誤送信は、山口氏の痛恨のミスだった。官邸の危機管理や裏仕事を一手に担っているとされ、「首相動静」に毎日のように登場していた「官邸のアイヒマン」こと北村氏に、山口氏が即座に相談メールを送り対応を相談していたことは、不可解な「逮捕状執行停止」に何らかの政治力が働いたのではないかという心象をいっそう深める結果となった――別冊宝島編集部。

●森友・加計学園問題、伊藤詩織さんが告発した性暴力事件、「桜を見る会」といった一連のスキャンダルにおいて、いつも見え隠れしていたのは問題を闇に葬ろうとする官僚たちの存在だった。・・・ある現役官僚が語る。「官僚人事を菅さんが握っているというが、実際は和泉洋人首相補佐官や杉田和博官房副長官らが、各省庁の次官級から情報を集め、人事案を提示して許可を取る。人事案作りにもっとも影響力を持つのは側近の官邸官僚たちで、官僚たちが本当にマークしなければならないのは、この人たちです」。菅氏が作り上げた「霞が関管理システム」が一人歩きし、いまや菅氏自身も完全にコントロールできない状態に陥っているとすれば、これ以上皮肉な話はない。「桜を見る会」問題に関して、「ブレまくり答弁」の失態を演じた菅官房長官。政界関係者の間でも「これまで危機管理能力が高かったわけではなく、厳しく追及されていなかっただけではないか」と言われ始めている――千葉哲也。

●大臣ともなれば、口先だけではなく、実行力が問われる。だが、これまでの評価が過大すぎたせいか、(小泉)進次郎語録は「ポエム」「お花畑」「中身なし」と酷評された。しまいには独身時代の不倫疑惑まで飛び出し、その株価は「ストップ安」となってしまったのである――別冊宝島編集部。

●(AO入試で)私が注目しているのはお茶の水女子大学(東京都)が実施している「新フンボルト入試」です。ヴィルヘルム・フォン・フンボルト(ベルリン大学の基本構想を創った言語学者・哲学者)は教育と研究の融合を提唱した人物で、試験名の由来となっています。この「新フンボルト入試」は、文系の「図書館入試」と理系の「実験室入試」に分かれており、文系の受験者は図書館で自由に文献や資料を参照し、理系の受験者は研究者と同じように実験室に入り、そこでレポートを作成する。レポートの評価も意見が割れるケースが出てくると思いますが、知識を問うペーパーテストでは測定できない潜在的な力を見出す意味で、画期的な取組みだと思います――前川喜平。

●国政選挙で6連勝しながら、ここまで何ひとつ憲法改正に向けて駒を進められなかったのはどうしてなのか――その問題について考えるとき、多くの関係者が「責任は重い」と指摘する人物がいる。元文部科学大臣で、憲法改正推進本部長をつとめた下村博文氏だ――別冊宝島編集部。

●官邸官僚のなかでも、多岐にわたる象徴に影響力を及ぼし「菅官房長官の懐刀」と目されていた和泉氏だが、2019年12月、厚労省の「美人官僚」大坪寛子大臣官房審議官(52歳)との不倫京都旅行を『週刊文春』に報道された。・・・大坪氏は「首相補佐官」の威光をバックに尊大な態度を取ることが多かったと報じられている。山中伸弥教授が所長をつとめる京都大学iPS細胞研究所に対し、予算削減を通告。だが、その際あまりに横柄な印象を周囲に与えたことが、ブーメランとなって自分に戻ってきた。不倫旅行については「単なる恥ずかしい話」で終わるとしても、官邸に「虎の威を借る狐」が二重三重に巣くっているという事実は、政権の腐敗を強く印象付けるものだった――千葉哲也。