榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

学園小説+生物小説、そして、ちょっぴり物理小説・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2405)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月17日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2405)

キタテハをカメラに収めました。

閑話休題、『セカイを科学せよ!』(安田夏菜著、講談社)は、学園小説+生物小説、そして、ちょっぴり物理小説です。物語展開にスピードがあるので、一気に読み終えてしまいました。

弱小クラブである提中学科学部電脳班の部長代理を押し付けられた「俺」こと、2年生の藤堂ミハイルと、転校生の山口アビゲイル葉奈が繰り広げるクラブ活動は、てんやわんやの大騒動の連続です。「蟲」大好き人間の葉奈が、次から次へと、カミキリムシ、カナヘビ、ワラジムシ、カ、ハエトリグモ、ミジンコを持ち込んできたからです。

「山口さんが黙って飼育ケースに両手を合わせ、俺と大橋先輩は止めていた息を復活させた。『ワラジムシ、死んだな』。大橋先輩が若干悲しげにつぶやき、『はい、ワラジムシの命は、カナヘビの体にお引っ越ししました』。山口さんが答え、俺は黙って次の獲物を狙うカナヘビと、ケースの中をウロウロするワラジムシたちを見た。妙な気分だ。教会で賛美歌を聞いているような、神社で鈴を鳴らしているような、神聖な気持ちだ。俺は心の中で手を合わせ、ワラジムシの冥福とカナヘビの長生きを祈った」。

校長のアドヴァイスを受けて、葉奈と俺たち部員は、生物班&電脳班の共同研究である「ミジンコの心拍数と水温の関係」に、必死になって取り組みます。

本作品は、葉奈の簡にして要を得た説明によって、それぞれの生物に関する知識が身に付くだけでなく、科学研究の進め方も学べる仕組みになっている優れものです。