榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

生存に有利さをもたらした進化が、今や、人類を悩ませる問題の要因となっている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2408)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月20日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2408)

空高く聳えたキダチダリア(コウテイダリア。写真1~3)の花が陽を浴びています。シシユズ(オニユズ。写真4~6)の実が黄色く色づいています。

閑話休題、『目的に合わない進化――進化と心身のミスマッチはなぜ起きる(上)』(アダム・ハート著、柴田譲治訳、原書房)の主張は、明快です。

生存に有利さをもたらした進化が、今や、人類を悩ませる問題の要因となっているというのです。

「進化の遺産は現代世界と出会うことで、わたしたちを助けるのではなく著しい『目的不適合』をもたらしている。わたしたちが進化してきた遠い過去の世界と、現在の世界との不一致が、たとえば肥満危機を助長しているのである。この過去と現代の不一致のおかげで、現代の食生活で多くの人が身体を壊してしまっている。これは進化がグローバリゼーションの速度に追いつけないことにも起因する。人間は体内でともに進化し、わたしたちの健康を左右する重要な存在となったバクテリアとの間で非常に複雑な関係を発達させてきた。一方、ストレス反応はわたしたちを守るために進化した仕組みだが、現代の生活では微小なストレス要因がひっきりなしに押し寄せ、この反応が逆にわたしたちの生命を脅かしている」。

本書では、どうしてこのような状態になったのかが説明されています。