榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

再導入された31匹のオオカミがイエローストーンの自然を再生させた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2460)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年1月11日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2460)

セイヨウツゲ(ボックスウッド)が褐色に紅葉しています。

閑話休題、大型絵本『自然を再生させたイエローストーンのオオカミたち』(キャサリン・バー文、ジェニ・デズモンド絵、永峯涼訳、幸島司郎・植田彩容子監修、化学同人)には、アメリカのワイオミング、アイダホ、モンタナの3州にまたがる広さ9000km²ほどのイエローストーンでのオオカミ復活と自然の再生(再自然化、リワイルディング)が描かれています。

イエローストーンの生態系の頂点に君臨していたオオカミは猟師たちに殺され、遂に姿を消してしまいます。そうするとオオカミの餌だったエルクが異常繁殖し、草や木の葉を食べ尽くし、瑞々しい草地を茶色く荒れ果てた地に変えてしまいました。生態系が損なわれてしまったのです。

それから70年経った1995年に、14匹のオオカミがこの地に放たれます。再導入されたのです。2年の間に、合計31匹のオオカミがカナダからイエローストーンに運ばれてきました。現在、イエローストーンには10以上のオオカミの群れが棲息しているが、その全てがこの31匹の子孫たちです。現在のイエローストーンは自然がきちんと保たれています。

再自然化とは、人間の影響を少なくして自然の働きに任せ、野生動物にとっても、人間にとっても、健全な環境を回復させる方法です。再自然化には、オオカミのような捕食動物の存在が重要なことを、イエローストーンの実例が証明しています。