榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

罪人の身代わりとして、あられもない姿で市中引廻しされる21歳の女・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2466)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年1月17日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2466)

朝焼け(写真1)。アトリの雄(写真2、3)、エナガ(写真4~7)、コゲラ(写真8)をカメラに収めました。キジバト(写真9)が体温を維持しようと羽を膨らませています。

閑話休題、時代小説短篇連作集『破蕾』(冲方丁著、講談社)は、最初から最後まで官能的表現で埋め尽くされています。

収録されている『咲乱れ引廻しの花道』は、御家人で南町奉行の与力を務める岡田家に嫁いだ21歳のお咲が主人公です。そのお咲が、あれよあれよという間に、夫殺しを図った罪で斬首される女の身代わりとして市中引廻しされることになってしまいます。身代わりといっても、市中引廻しであられもない姿を衆目に晒すだけで、命を奪われるわけではありません。そして、百三十両という大金が身代わりの礼金として支払われるのです。

お咲が納得して身代わりを務めようとしたわけではないのに、どんどん準備が進められ、遂に、実際にお咲の市中引廻しが行われてしまいます。その一部始終が官能、官能、官能の嵐で、あまりに官能的、煽情的、肉感的なので、僅かな引用もはばかられるのです。