ナメクジは塩をかけると溶けてしまうと思われているが、それは間違いだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2612)】
ヤマトシジミ(写真1、2)、ベニシジミ(写真3、4)、コフキゾウムシ(写真5、6)の交尾を間近で目撃することができました。コフキゾウムシの場合は、交尾中に邪魔者が現れたようです。オジロアシナガゾウムシ(写真7、8)、ツチイナゴ(写真9)、ヤブキリの雄(写真10)、その幼虫(写真11)、ナナフシ(ナナフシモドキ。写真12、13)、ニホンアカガエルの幼体(写真14~16)をカメラに収めました。
閑話休題、『ナメクジの言い分』(足立則夫著、岩波科学ライブラリー)には、あまり知られていないナメクジの興味深い情報が盛りだくさんです。
「(非常勤講師を務める女子大の)学生には、まず歩くのが遅いという事実を頭に入れてもらう。次に簡単な生命史を解説する。『その昔、わが身を守る殻を捨ててカタツムリから独立し、恐竜などが絶滅した危機も乗り越え、生き延びてきた』。ここで学生に質問を投げかける。『なぜ、ナメクジは地球上で生き延びることができたのか?』。全員に答えてもらう。正解は私にも分からない。『なぜ』と考えるくせをつけてもらおう、というのが授業の狙いなのだ。『歩くのが遅い→えさの量が少なくて済む→エネルギー節約型のライフスタイルが生き延びた原因』と学生たちの答えがたどってくれると、授業はまとめやすい」。
「柄眼目(へいがんもく)。文字通り長細い柄のような触角の先に眼をつけたキセルガイや、アフリカマイマイ、ミスジマイマイ、エスカルゴ、そして各種のナメクジがここに属するのである。大ざっぱにいえば、カタツムリと、各種カタツムリから殻を捨て去って独立したナメクジたちが柄眼目を構成しているのだ。エスカルゴもカタツムリも同じ仲間と思えば、ナメクジにもなんとなく親近感がわいてくる」。
「いろいろな機能が備わっている粘液は、主に頭部や腹部の下にある足腺から分泌される。一つは自由に流れ出て腹の底の左右に広がる。もう一つは粘性がより強く、腹に沿って後ろに流れ出る。この粘液の成分は何なのか。ムチンと呼ばれる粘性物質で、多糖類とタンパク質が結合したものだ。人間の体内の粘膜、例えば胃腸の内壁を覆っているのもムチンである。胃が胃酸で溶けないのもムチンで保護されているからなのだ。そう見てくると、人間は、動物界の大先輩に当たるナメクジの粘液の機能を体内でしっかり受け継いでいることになる」。
「ナメクジを素手で触れたような場合、すぐに手を洗う。触れた手でそのままものをつまんで食べたり、料理をしたりすることは禁物だ」。恐ろしい感染症を起こす寄生虫の広東住血線虫がナメクジを中間宿主にすることがあるからです。
ナメクジは塩をかけると溶けてしまうと思われているが、それは間違いだと書かれています。「(実験すると)塩をかけた直後に絶命した模様だ。体内の水分の欠乏、それに食塩を含んだドロドロの粘液が呼吸孔をふさいだことが死因と思われる。・・・ナメクジが食塩によって大きな打撃を受けるのは、粘液で溶けた食塩の浸透圧がきわめて高いためなのだろうか」。