榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

水中考古学が解き明かした蒙古襲来の真実・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2615)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年6月14日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2615)

ゴマダラチョウ(写真1、2)、アカボシゴマダラ(写真3)、クロアゲハ(写真4)、イチモンジチョウ(写真5)、コミスジ(写真6)、ヒカゲチョウ(写真7、8)、コジャノメ(写真9)、ヒメウラナミジャノメ(写真10)、ベニシジミ(写真11)、ルリシジミの雄(写真12)、キマダラセセリ(写真13)、シロコブゾウムシ(写真14)をカメラに収めました。我が家の庭ではコクチナシ(写真15、16)が芳香を放っています。

閑話休題、『水中考古学――地球最後のフロンティア 海に眠る遺跡が塗り替える世界と日本の歴史』(佐々木ランディ著、エクスナレッジ)で、とりわけ興味深いのは、「水中考古学で解き明かす蒙古襲来の真実」です。

元寇終焉の地として知られる長崎県松浦市鷹島の海底遺跡調査の結果、「神風」は実在したというのです。

「海外のメディアでも鷹島海底遺跡の遺物発見は取り上げられた。ユネスコは世界を代表する著名な水中遺跡としてタイタニック号、スペイン・アルマダ艦隊、コロンブスの船と並べて鷹島海底遺跡を紹介したほどで、それほど大きな発見だったのだ。注目されたのは、神崎沖の掘削中に『並んで発見された』イカリ(アンカー)である」。

この「並んだ状態」で発見されたイカリから「神風」の正体が明らかになったのです。「並んで沈んでいる、つまり使用された状態のまま発見されたということだ。それも、数本が並んだ状態で発見され、イカリから船に向かって伸びる竹で編んだロープも見つかった。これによって、何がわかるか。船はイカリを海底に打ち込んで固定し、風に逆らおうとする。つまりロープがどちらを向いているかで、イカリを打ち込んだ時の『風向き』がわかるのだ。調査によると、風はどうやら南から北に向かって吹いていたと推測される。船は風で海岸に打ち付けられないように留めたに違いない。次に、推測される風向きから『神風』の正体とされる台風の進路も予測できる。反時計回りに中心に向かって吹き込む台風は南向きの風だ。すなわち、台風は鷹島の西の海上を通過したことになる」。

「やがて吹き始めた北向きの風。すでに統率が取れなくなっていた艦隊への逆風だ。強風にあおられぶつかり合う船体、そして投げ出される戦士たち。日本の兵士たちはどんな思いでその光景を陸から見つめていたのか。海中から見つかった一つのイカリからここまで想いを馳せることができる、水中考古学の可能性を
少しはわかっていただけただろうか」。

「鷹島の海は普段は穏やかだが、風が強くなったり、特定の方向から風が吹くことで突然波が高くなる可能性がある。穏やかな海が凶変したため、モンゴル軍はパニックに陥ったのであろう」。

本書のおかげで、水中考古学の魅力の一端に触れることができました。