榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

文豪たちが、こんな、とんでもない手紙を書いていたとは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2727)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年10月4日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2727)

ミドリヒョウモンの雄(写真1~6)、ツマグロヒョウモンの雄(写真7、8)、雌(写真9、10)、ヒカゲチョウ(写真11)、アオスジアゲハ(写真12)、アカボシゴマダラ(写真13)をカメラに収めました。光合成を行わない腐生植物・ギンリョウソウが咲いています。

閑話休題、『文豪たちのヤバい手紙』(別冊宝島編集部編、宝島社)で、とりわけ興味深いのは、石川啄木のローマ字日記、齋藤茂吉の愛人への手紙、有島武郎の遺書――の3つです。

●石川啄木――借りた金は俺の金とばかり遊興と買春に使い果たす夭折の天才
<いくらかの金のあるとき、予はなんのためらうことなく、かの淫らな声に満ちた、狭い、汚い街に行った。予は去年の秋から今までに、およそ十三~四回もおこなった。そして十人ばかりの淫売婦を買った。・・・予の求めたのは、暖かい、柔らかい、真っ白な体だ。体も心もとろけるような楽しみだ。しかし、それらの女は、やや年のいった者も、まだ十六くらいのほんの子供なのも、どれだって何百人、何千人の男と寝たのばかりだ>(明治42年4月10日)。

●齋藤茂吉――婚約が決まった愛人を熱い手紙の大量投下で取り戻す
<ふさ子さん! ふさ子さんはなぜこんなにいい女体なのですか。何ともいえない、いい女体なのですか。・・・ふさ子さん。なぜそんなにいいのですか。今度の御写真見て、光がさすようで勿体ないようにもおもいます。近よりがたいような美しさです>(昭和11年11月26日、永井ふさ子宛)。

●有島武郎――人妻の死んでもいい「覚悟」に引きずられたブルジョア作家の果て
<山荘の夜は一時を過ぎた。雨がひどく降っている。私達(有島と波多野秋子)は長い路を歩いたので濡れそぼちながら最後のいとなみをしている。森厳だとか悲壮だとかいえばいえる光景だが、実際私達は戯れつつある二人の小児に等しい。愛の前に死がかくまで無力なものだとはこの瞬間まで思わなかった。恐らく私達の死骸は腐爛して発見されるだろう>(大正12年6月9日、足助素一宛)。「発見されるまで、この日付から一月近くかかったため、腐乱した遺体は酸鼻を極めたという。美男美女だったが、二人は顔では判別できなかったという」。

文豪たちが、こんな、とんでもない手紙や日記を書いていたとは!