数学が苦手な私が、数学研究者のエッセイ集を読んだら・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2800)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年12月16日号】
情熱的読書人間のないしょ話(2800)
我が家の庭の餌台「空中楽園」にはメジロ(写真1)が、「カラの斜塔」にはシジュウカラ(写真2、3)、スズメ(写真4、5)がやって来ます。
閑話休題、『偶然の散歩』(森田真生著、ミシマ社)は、数学研究者のエッセイ集です。
私は数学が苦手で、著者との共通点は散歩好きという点だけだが、いろいろと気づきが得られました。
「散歩に行こうよ。そう呼びかけ合える相手と、一生にどれだけ出会えるだろうか。目的もなく、行く先もなく、ただ一度きりの偶然を分かち合う。それは本当に特別なことなのである」。
「何かを使えるということと、何かを理解することのあいだには、本当は果てしない距離がある。理解しようとする辛抱をやめ、効果的に使うことばかりを求めていると、未知の他者に対する想像力や感受性は、知らず知らずのうちにやせ細っていく」。
「ネットのない時代、ちょっとしたつぶやきなどは、何の役に立つこともなく、そのまま宙に消えていった。いまやウェブ上に『つぶやき』を投稿すれば、すべてがマーケティングやサービス向上のための資源として、どこかの誰かに活用される。スマホが収集する日常生活の何気ない動向までもが価値ある情報として売買される。あらゆる行動が意味あるデータを生み出してしまう時代――役に立たない時間を過ごすことは、ますます希少で、贅沢なことになっていくのだろう」。