榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

中東、エジプト、中国・インド、地中海の古代の覇者たちがやったこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2810)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年12月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2810)

タチバナモドキ(写真1、2)が実を付けています。オカヨシガモの雄(写真3)、雌(写真4)をカメラに収めました。

閑話休題、『古代の覇者――世界史を変えた25人』(パトリシア・ダニエルズ著、定木大介訳、日経ナショナル ジオグラフィック)では、中東、エジプト、中国・インド、地中海の古代の覇者25人が取り上げられているが、自分が馴染の薄い人物に興味を惹かれます。

●中東のハンムラビ(統治期間:紀元前1792年頃~1750年頃)
「紀元前1792年頃に古代の都市国家バビロンの王となったアモリ人、ハンムラビ(生年不詳~紀元前1750年頃)は、貪欲な戦士であると同時に抜け目のない統治者でもあり、シュメールやアッカドなど支配した諸地域の伝統をあえて尊重した。敵には容赦せず、自分に従わない都市を滅ぼすこともあったが、一方で古来の判例を集成して一つの法典(ハンムラビ法典)にまとめ上げ、それをすべての臣民に適用することで、帝国に統合と安定をもたらした」。

●エジプトのトトメス3世(統治期間:紀元前1479年~1426年頃)
「トトメス3世(生年不詳~紀元前1426年頃)は、摂政からファラオ(共治王)に成り上がった継母ハトシェプストの陰で目立たない存在だった。しかしハトシェプスト亡きあと、すぐにその名をとどろかせる。内向きだったエジプトを、積極的に外征を行い勝利する覇権国家へと変貌させたのである。その軍略の才は世に聞こえ、後世の歴史家たちからは『エジプトのナポレオン』と呼ばれた。・・・略奪品、租税、貢物といった軍事遠征の戦利品はエジプトの国庫を大いに潤し、当時、トトメス3世は世界一の富豪となった」。

●インドのアショーカ王(統治期間:紀元前270年頃~233年)
「チャンドラグプタ・マウリヤの孫アショーカ(紀元前304年頃~233年)は、マウリヤ帝国の版図を最大にし、その勢威を絶頂の高みへと押し上げた。彼は帝国を大きく変貌させたが、その変化は、治世の初期に見られたような武力の行使によって成し遂げられたものではない。むしろ、仏教を受け入れ、寛容と非暴力のメッセージを広大な帝国全土に広めた結果である」。

●ローマのトラヤヌス(統治期間:紀元98年~117年)
「ローマ帝国の歴史をひもとくと、混乱期と混乱期の狭間に比較的安定した一時代が存在する。いわゆる『五賢帝』による治世である。5人の皇帝はいずれも世襲ではなく、先帝に選ばれ、その薫陶を受けた者たちだ。これは、円滑かつ平和的に権力移譲するための工夫だった。なかでもトラヤヌス帝(紀元53年頃~117年)はオプティムス(最良の元首)という称号を贈られた明君であり、ローマ帝国の国境線を最大限に押し広げただけでなく、臣民に対して並外れた博愛と寛大さをもって統治を行った」。