榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

思いがけない不幸に襲われても、前を向いて生きていこう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2847)】

50mほど先の高木に止まったノスリ(写真1~3)を見つけることができました。ジョウビタキの雄(写真4、5)、雌(写真6、7)、アオジの雄(写真8)をカメラに収めました。ウメ(写真9~11)が芳香を漂わせています。因みに、本日の歩数は13,034でした。

閑話休題、誰でも思いがけない不幸に襲われることがあります。そういうとき、勇気づけてくれる本があったら、どんなに救われることでしょう。『生きる―― 一歩一歩、前へ』(Shoko著、評言社)は、まさに、そういう一冊です。17歳の時、交通事故で手足の自由を奪われ、車椅子生活になって11年という著者の心の内と、さまざまな頑張り――会社経営、YouTuber、バリアフリー活動家、CM出演、商品開発――が綴られているからです。

「退院して5年たった頃からかな、気持ちが少しずつ前向きになってきたのは。何か『これ』ということがきっかけだったわけではないのだけれど。私には、5年という時間が必要だったのかもしれない。一つ確かなことは、家族や友人の存在。周囲の人の支えは本当に大きい。家族には、ケガをしたその日からずっと心配をかけ、お世話になっている」。

「『前向きに生きよう』と決めたことで、私が挑戦したことがある。それは、仕事を始めること」。

「ウェブデザインの学校を卒業してから、ある会社に1年間お世話になり、独立した。私の仕事内容は、●ウェブサイト制作、●名刺、パンフレットなどのグラフィックデザイン などなど。この職業に出合ったことで、私の世界は大きく広がった。・・・不思議なもので、こうして自信がついてきた時期と前後するように、自分自身の障がいと向き合えるようになっていた。そして、気づいたときには泣かなくなっていた」。

「私が前向きになれた理由」が5つ挙げられています。
①支えてくれた家族や友達に、前向きな姿を見せて、恩返しをしたかった。
②前を向こうと決心したことで、自分の障がいと向き合うようになった。
③人と比較することをやめて、自分のペースで歩んでいこうと思えるようになった。
④自分にできる範囲で強みになるものを探し、実現できたことで自信に繋がった。
⑤自分の障がいの取り扱い方がわかってきて、うまく付き合えるようになった。

「車いす生活だけど、車も運転する。以前はウェブデザイナーとして働き、今はユーチューバー的なことをして、自分で動画編集もする。一人暮らし。これだけを読むと、自分でも意外と軽症なんじゃないかと勘違いしそう。でも、さまざまな工夫、サポートと自分の扱い方がわかってきて、事故後10年でなんとかこういう生活が可能になったのだから、結構頑張った自分もいる」。

「2022年に嬉しいプロジェクトが始まった。・・・『しょうこ限界へスマッシュ』プロジェクトの最終的な目標は、(『回復に限界はない』というイベントと)同じ時期の11月に、長下肢装具をつけた状態で、歩行器を使いながら自分で(サポートなしで)10歩歩き、そして立って卓球にも挑戦する、というものだ」。

「生きていると、辛いこと悲しいこと悔しいこと、しんどいことがたくさんある。だけど、それを乗り越えた先には、きっと、希望がある。幸せがある。その幸せを感じたいのならば、自分自身が自分の力で一歩踏み出す勇気を持つことが必要だと知った」。

著者の精神力、実行力、継続力に脱帽。