榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ケルト人の起源は? アーサー王は実在したか?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2852)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年2月6日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2852)

シロハラ(写真1)、モズの雄(写真2)、シジュウカラ(写真3)、コサギ(写真4、5)をカメラに収めました。ウメ(写真6~13)が芳香を漂わせています。因みに、本日の歩数は11,705でした。

閑話休題、『ケルトの解剖図鑑――「ケルト」を知ればヨーロッパがますます面白くなる』(原聖著、エクスナレッジ)のおかげで、ケルトについて多くのことを学ぶことができました。

●ケルト人の起源は?
「(1980年代までは)ケルト人は中央ヨーロッパが起源であり、それが紀元前1000年紀、すなわちハルシュタットやラ・テーヌ遺跡と同時代にブリテン諸島、イベリア半島、またイタリア半島、現ハンガリーやブルガリアなどの東欧地域に広がったとされた。ところが1990年代になって、この見方に異議が唱えられ始める。・・・(紀元前3000年紀末あるいは前2000年頃の)ケルト語は大西洋沿岸地域、すなわちイベリア半島からブリテン諸島にかけての諸民族、諸文化を橋渡しする『共用語』だったのであり、必ずしも同一『民族』の言語ではなかったと考えられる。これがガリア(現フランス)から中央ヨーロッパ、東欧へと広がったと推定される。同一民族の言語ではなく、民族から民族へと文化の伝播を担う言語だった」。

「これまでケルト人は(ヨーロッパ)大陸のアルプスの麓から西方に下り、さらにブリテン諸島(現在の英国、アイルランド)にも渡ったとされたが、むしろ大西洋沿岸域の海域におそらく海洋文化として広がっていたケルト文化が(東に向かって)欧州の内陸にも分け入るようになったと見るのである」。

●アーサー王は実在したか?
「アーサー王伝説は中世盛期(12世紀頃)に西欧全域に広まった物語で、舞台は5世紀後半から6世紀はじめのブリテン島、アングロ・サクソン人の侵入に対して、これを防御し、国を統一したという、ブリテン島の土着民の物語である。・・・ブリテン島のケルト諸語、いわゆるケルト文化圏の物語ということができる。・・・その後、円卓の騎士、トリスタンとイゾルデ、聖杯物語など周辺物語が膨らみ、中世西欧で最大の伝説的王、王伝説となった。・・・アーサー王は実在したか。・・・アーサー王の史的実在を真面目に主張する歴史家は存在しない」。