榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

新編の『銀河鉄道の夜』を久しぶりに再読して、気づいた10のこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2903)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年3月29日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2993)

撮影助手(女房)から、千葉・柏の「あけぼの山農業公園」でチューリップが見頃のようよ、と教えられ、訪れました(写真1~11)。専門家からソメイヨシノ(写真15、16)の後継品種と目されているジンダイアケボノ(写真12~14)が咲いています。

閑話休題、短篇集『銀河鉄道の夜(新編)』(宮沢賢治著、新潮文庫)に収められている新編の『銀河鉄道の夜』を数十年ぶりに再読したら、いくつかのことに気づきました。

第1は、この作品は完成前の未定稿であり、宮沢賢治の生前には出版されていないこと。

第2は、主人公のジョバンニは貧しく孤独な少年で、いじめに遭っていること。

第3は、ジョバンニの親友のカムパネルラは水に落ちた友を救おうとして自らが溺れ死んでしまうこと。

第4は、天の川を巡る銀河鉄道の旅は死者たちの旅であること。

第5は、この作品では宮沢賢治の宇宙に関する知識が動員されていること。

第6は、この作品では読者の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を刺激する工夫が凝らされていること。

第7は、賢治は法華経を信仰しているが、この作品ではキリスト教の要素も濃厚であること。

第8は、この作品の底には死と死後の救いというテーマが流れていること。

第9は、これは子供たちの宇宙に対する想像力を掻き立てる作品であること。

第10は、これは童話ではあるが、大人にもいろいろなことを考えさせる作品であること。