榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ボリス・エリツィンの最大の失敗は、ウラジーミル・プーチンを後継者に指名したこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2912)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年4月7日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2912)

ジューンベリー(アメランチエ・カナデンシス。写真1、2)、セイヨウナシ(写真3、4)、クルメツツジ(キリシマツツジ。写真5)、ボタン(写真6)、シャクヤク(写真7)、カジイチゴ(写真8)、ハボタン(写真9)、オオアマナ(写真10、11)が咲いています。ヒイラギナンテン(写真12)が実を付けています。我が家の庭師(女房)から、ミヤコワスレ(写真15)が咲き出したわよと報告あり。因みに、本日の歩数は11,695でした。

閑話休題、『世界を変えた100の手紙――ライト兄弟からタイタニック号の乗客、スノーデンまで(下)』(コリン・ソルター著、伊藤はるみ訳、原書房)には、●ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟が父のミルトン・ライト牧師に知らせを送る、●アルバート・アインシュタインとレオ・シラードがフランクリン・D・ローズベルト大統領に警告の手紙を送る、●ローズベルト大統領はチャーチル首相にかつてリンカーンが感動した詩を送る、●ヴァージニア・ウルフが夫レナードに遺書を書く、●ウィンストン・チャーチルが暗号解読官から緊急の要望を伝えられる、●難破したJ・F・ケネディは生死のかかったメッセージをふたりのソロモン諸島人に託す、●ジャッキー・ロビンソンがアイゼンハワー大統領に自分たちは待ちくたびれたと告げる、●ネルソン・マンデラが南アフリカ首相に最後通牒を送る、●チェ・ゲバラは戦いを続けたいとフィデル・カストロに伝える、●ボリス・エリツィンはロシアという国の舵取りは思ったより難しかったと認める、●エドワード・スノーデンはドイツのマスコミにショッキングな事実を暴露する――といった興味深い手紙が収録されています。

例えば、「ボリス・エリツィンはロシアという国の舵取りは思ったより難しかったと認める」は、このように解説されています。「(1990年には)ロシア共和国大統領に選出されたが、人気がありすぎてソ連の他のリーダーたち(それまでは彼の親分格だったゴルバチョフも含めて)からは目の敵にされていた。1991年8月にゴルバチョフ大統領の反対派がクーデターを起こしたときには、エリツィンが介入してクーデターをくいとめた。エリツィンのもとでロシアはソビエト連邦から離脱し、その年の末にはゴルバチョフが辞任して、ソビエト連邦は分裂した。エリツィンはロシア連邦の大統領となった。エリツィンは、他のポピュリスト政治家と同じように、現状に反対して権力を握ることは、自分が責任ある立場になって現状を変えることと比べればずっと簡単だったことに気づいた。彼が二度目の辞任を告げる1999年の最後の日には、彼も<簡単だと思っていたことが恐ろしく難しいことだった>と認めざるを得なかった。・・・ロシアの政治の先行きを決める最後の試みとして、エリツィンはまだ比較的無名ながら彼の下で首相を務めていたウラジーミル・プーチンを後継者として指名した」。エリツィンの最大の失敗が、プーチンを後継者に指名したことであることは、火を見るよりも明らかです。

読み応えのある一冊です。