複雑な気持ちにさせられる廃校の写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3091)
ルリマツリ(写真1)、アマリリス(写真2)が咲いています。マムシグサ(写真3)が実を付けています。ハス(写真4~6)の葉が枯れています。
閑話休題、写真集『美しい廃墟――日本編 耽美な世界観を表す日本の廃墟たち』(MdN編集部編、エムディエヌコーポレーション)には、医院、遊園地、ホテル、工場、集落などの廃墟が収載されているが、とりわけ印象深いのは、廃墟と化した学校です。
●緑の廃校(東北地方)――豪雪地域に佇む苔に覆われた廃校(小学校)
「廊下だけでなく保健室・音楽室・技術室などの教室も苔に覆われ、そのすべてがもわっとした湿気に満ちている」。
●D分校(北海道)――肩を寄せ合い学んだだろう小さな分校
「この小さな学び舎に全校生徒が一部屋に集まって勉強し、布張りの大きな椅子に座った先生と和気藹々と過ごす。そんな当時の空気を感じる」。
●N鉱山OS小中学校(埼玉県)――緑が差し込む鉱山の廃校
「床の腐敗が進み、いつどこで踏み抜くかわからない状態でも、大きな窓枠は今もなお教室に四季の彩りを与え、吹き抜けには燦然と光が降り注いでいる」。
●僻地の廃校(東北地方)――ノスタルジー溢れるレトロな廃校(小学校)
「レトロな木枠の窓は朽ち、その隙間から自由自在に蔦が伸びている。当時の教材も豊富でノスタルジックな雰囲気に満ちている」。
●木漏れ日学校(北海道)――朽ちてなお鮮やかな翠の教室
「教室と教室の間にあった壁も、床板も取り払われたスカスカの空間に、鮮やかな草木が芽吹いていた」。
●T中学校(北海道)――棄てられ時が止まったままの教室
「教室にはエレクトーンやブラウン管テレビなど、昭和レトロなデザインの機器が残されていた。土埃がたまり歩くたびにジャリと音を立てる場所もあれば、床板は剥がされ地面が剥き出しになった場所もあった」。
「美しい廃墟」という書名だが、複雑な気持ちにさせられる写真集です。