世の中に、こんなに「切ない」動物がたくさんいるなんて・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1302)】
キタテハを見つけました。ルリマツリ(プルンバゴ)が薄青色の花を咲かせています。ユズが実を付けています。ヤマノイモのハート形の葉が黄色く色づいています。キャベツが青々と育っています。
閑話休題、『せつない動物図鑑』(ブルック・バーカー著、服部京子訳、ダイヤモンド社)は、著者の「切ない」動物たちに関する知識と、ユーモア溢れるイラストが相俟って、ほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。
「ちょっとした、せつない告白」――
●ワニ(ミシシッピワニ)の脳はオレオ(=クリームをクッキーで挟んだ菓子)より軽い。
●ネズミ(ハツカネズミ)にはほかのネズミの悲しみがうつる。「ネズミは、とても空気が読める動物。ある研究では、近くに元気がないネズミがいると、まわりの元気なネズミまでじっと動かなくなりました。しかも、ネズミどうしが顔見知りの場合、さらに相手の変化に気づきやすくなったのです」。
●アデリーペンギンは、がけからなかまをつき落とす。「アデリーペンギンは、なかまを『いけにえ』にします。かれらはむれで行動しますが、いっせいに海に飛びこむようなまねはしません。ペンギンたちはまず、おしくらまんじゅうをして、高さ2mのがけっぷちから1羽をつき落とします。すると、ほかのペンギンたちはいっせいに首をのばし、じーっと下のようすをうかがうのです。落ちた1羽が敵におそわれたりせず無事だったら、海の中は安全。残りのみんなは安心して海に飛びこめる、というわけです」。
●ハイエナ(ブチハイエナ)の好物はくさった肉。
●アボカドはハムスター(ゴールデンハムスター)には毒。
「できなくて、せつない」――
●フクロウ(アメリカワシミミズク)の目玉は動かない。「(フクロウの目玉は)あまりに大きすぎるため、目の奥にある強膜輪という骨にしっかり固定されています。だから、ほかの動物のように、目玉をキョロキョロと動かしてまわりを見ることはできず、首ごとぐるぐる回すしかありません」。
●イルカ(ハンドウイルカ)は脳の半分ずつしか眠れない。「イルカは、人間と同じほ乳類。水中では呼吸ができないので、ときどき鼻を水面に出して息つぎをしています。もし、かれらが完全に眠って体を休ませると、息ができずおぼれて死にます。そこであみ出したのが、脳の半分だけで眠る半球睡眠。左の脳が眠っているあいだは、右の脳が起きていて『呼吸せよ』と命じたり、考えごとをしたりしています。目をつぶるのも片方ずつで、ちょっとややこしいのですが、右の脳が寝ているときは左目を閉じるといった具合に、寝ている脳とぎゃくの目を閉じています」。
「恋は、せつない」――
●カバは好きな子におしっこをかける。「カバは、おしっこをいろんなことに使います。なわばりを主張するときも、けんかに負けて『まいりました』と相手に伝えるときも、つねにおしっこをひっかけるのです。そんなかれらは、好きな異性にも、ちゅうちょなくおしっこをかけます」。
「へんてこで、せつない」――
●チョウ(トラフアゲハ)は足で味を感じる。
●ツチミミズには心臓が5つある。
●カクレクマノミの体はぬるぬる。
●キツツキ(カンムリキツツキ)は長~い舌が頭がい骨をぐるりとおおっている。
●カツオノエボシの体はたくさんの生き物が集まってできている。
「すごいけど、せつない」――
●ラクダ(フタコブラクダ)は100ℓの水を15分で飲みほす。「ラクダのこぶには水が入っていると思われがちですが、本当は脂肪がつまっています。そして食べるものがないとき、この脂肪のエネルギーで生きのびるのです。そんなわけで、ラクダは水を飲まずに160kmくらい歩けますが、じつはのどがカラカラ。さいわいにも水を見つけると、できるだけたくさん飲むのだそうです」。
●キツネ(アカギツネ)は一生朝から晩までずーっとひとりぼっちで過ごす。